未刊詩篇より
少女と雨
少女がいま校庭の隅に佇んだのは
其處は花畑があつて菖蒲の花が咲いてるからです
菖蒲の花は雨に打たれて
音樂室から来るオルガンの 音を聞いてはゐませんでした
しとしとと雨はあとからあとから降つて
花も葉も畑の土ももう諦めきつてゐます
その有様をジッと見てると
なんとも不思議な気がして来ます
山も校舎も空の下に
やがてしずかな囘轉をはじめ
花畑を除く一切のものは
みんなとつくに終つてしまつた 夢のやうな気がしてきます
其處は花畑があつて菖蒲の花が咲いてるからです
菖蒲の花は雨に打たれて
音樂室から来るオルガンの 音を聞いてはゐませんでした
しとしとと雨はあとからあとから降つて
花も葉も畑の土ももう諦めきつてゐます
その有様をジッと見てると
なんとも不思議な気がして来ます
山も校舎も空の下に
やがてしずかな囘轉をはじめ
花畑を除く一切のものは
みんなとつくに終つてしまつた 夢のやうな気がしてきます
中原中也 1936 (推定) 未刊詩篇
出典:中原中也全詩集 P.828 1972 角川書店
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