
この詩に触発されたロシアのバレリーナ アンナ・パヴロワ の依頼で、振付師 ミケル・フォーキンが、曲にサン=サーンスの「白鳥」を選び、詩の内容を振り付け、バレー・ヴァリエーション「去り逝く白鳥」を完成させたといわれる。
*文末に補遺を加筆 : 2026.03.05
去り逝く白鳥
I. & II. スタンザ 省略
( I. 荒涼たる荒れ地. 川に浮いて, 死期の近いことを察した白鳥が, 高く, 悲しみの声をあげる)
(II. その周囲のカオスのような状況の描写)
(III. 以下に訳詩を, ページ末に原詩を掲ぐ)
(II. その周囲のカオスのような状況の描写)
(III. 以下に訳詩を, ページ末に原詩を掲ぐ)
III.
野生の白鳥の死の賛美歌は魂を捉えた
あの荒廃した地の 歓喜と共に
悲しみにかくれ:初めは耳に
さえずりは低く、やがて大きくはっきりと;
そして大空の下を漂い、
衰弱を凌ぎ、挽歌はひそやかに流れる
時に遠く、また時に近く;
しかし程なく白鳥のとてつもない喜びの声が、
風変わりで多様な音楽と共に、
自由で力強い喜びの賛美歌となって流れ行く;
力ある人たちが歓喜する時のように
ショームや、シンバルや、黄金の竪琴と共に、
そして彼らの歓呼の騒ぎはなおも続いて
開いている街の門を通り抜け更に遠く、
夕星を見守る羊飼いのところまで。
そして忍び寄る苔やよじ登る蔦、
そしてジメジメとしてカビ臭い柳の枝、
そして波のように高まる葦のざわめき、
そして波に削られ切り立ち反響する土手、
そして群がる銀色の湿った花々
荒れ果てた入り江や水たまりの、
それらは皆渦巻く歌で溢れかえっている。
あの荒廃した地の 歓喜と共に
悲しみにかくれ:初めは耳に
さえずりは低く、やがて大きくはっきりと;
そして大空の下を漂い、
衰弱を凌ぎ、挽歌はひそやかに流れる
時に遠く、また時に近く;
しかし程なく白鳥のとてつもない喜びの声が、
風変わりで多様な音楽と共に、
自由で力強い喜びの賛美歌となって流れ行く;
力ある人たちが歓喜する時のように
ショームや、シンバルや、黄金の竪琴と共に、
そして彼らの歓呼の騒ぎはなおも続いて
開いている街の門を通り抜け更に遠く、
夕星を見守る羊飼いのところまで。
そして忍び寄る苔やよじ登る蔦、
そしてジメジメとしてカビ臭い柳の枝、
そして波のように高まる葦のざわめき、
そして波に削られ切り立ち反響する土手、
そして群がる銀色の湿った花々
荒れ果てた入り江や水たまりの、
それらは皆渦巻く歌で溢れかえっている。
アルフレッド・テニスン
Alfred Lord Tennyson 1830 “The Dying Swan”
アルフレッド・テニスン 1830 "去り逝く白鳥"
土のちり 訳
アルフレッド・テニスン 1830 "去り逝く白鳥"
土のちり 訳
注)この詩とバレー “スヴェトラーナ・ザハーロワ「去り逝く白鳥」” のタイトルは、いずれも "The Dying Swan"。そして その邦訳は "瀕死の白鳥" とされることが多い。しかし、"瀕死" という語の意は、死を間近にしてはいても死そのものを含まず、これを "Dying" の訳語とすると、この二つ作品の主題をスポイルしてしまう。
直訳すれば "死ぬ白鳥" となるところを、ここでは「神のみもとへまさに立ち去ろうとしている」といわれる意を込め "去り逝く白鳥" とした。
直訳すれば "死ぬ白鳥" となるところを、ここでは「神のみもとへまさに立ち去ろうとしている」といわれる意を込め "去り逝く白鳥" とした。
注)ショーム = ダブルリードの大小の笛 オーボエの前身
注)horn=訳語17(特に一方がそげたような形をした)切り立った峰《地質》(氷食作用によって表面がそげた)氷食先鋒 (ランダムハウス英和大辞典 第2版)
注)白鳥のとてつもない喜びの声 = ↓
ソクラテス「白鳥は、死ななければならないと気づくと、それ以前にも歌ってはいたのだがその時には特に力いっぱい、また極めて美しく歌うのである。それというのも、この鳥は神[アポロン]の召使いなのだが、その神のみもとへまさに立ち去ろうとしていることを、喜ぶからなのである。」(出典:プラトン BC427-BC347「パイドン」岩田晴夫訳 岩波書店)
ソクラテス「白鳥は、死ななければならないと気づくと、それ以前にも歌ってはいたのだがその時には特に力いっぱい、また極めて美しく歌うのである。それというのも、この鳥は神[アポロン]の召使いなのだが、その神のみもとへまさに立ち去ろうとしていることを、喜ぶからなのである。」(出典:プラトン BC427-BC347「パイドン」岩田晴夫訳 岩波書店)
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ー 補遺:2026.03.05 記 ー
用語について少し詳しく書くと…
・「瀕死」とは「死に至る可能性が非常に高い(極めて重篤)」な状態ではあっても、治療によって一命を取り留め健康を回復する可能性もある状態を指す。
・医学的に回復が全く見込めない状態を指す言葉は「危篤」。
・現実の死そのものを指す言葉には「逝く」「逝去」「臨終」などもある。
荒廃した沼地の諸々の生き物たちは、断じて「"瀕死" の白鳥」の嘆き悲しみ苦しみを見て喜ぶ変質者などではない。
彼らは、白鳥が自らの祝福された「死」の時を悟りよろこびの声を上げたこと、それが成就したこと、それを知って歓喜している。
かつて、救い主誕生の知らせが真っ先に荒野にいた羊飼いたち(社会的に低い地位に置かれ疎外された存在)に届けられ彼らが歓喜したように、今、荒れた沼地に置かれた者たちがまず「白鳥の祝福された死」を知らされて歓喜している。
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Link:バレエ・ヴァリエーション「スヴェトラーナ・ザハーロワ『去り逝く白鳥』」
改訂:2017.07.02 彼方へ→遠く, 入江や池を→入江や池の周りに, 囲んで群がる→群がる
2018.05.25 レイアウト更新 リード追記
2018.06.13 行間隔増加,…を鳴らし→ …と共に
2018.10.19 エコーバンクの→エコーバンクに 他末梢表現変更
2021.08.08 注)白鳥のとてつもない喜びの声 ソクラテスの言葉の引用補足
2023.12.31 注)に題名の訳語の説明を加筆,他
2024.05.15 リンク記載位置変更,レイアウト修正
2026.02.28 "horn"を含む行の訳文変更,行頭を大文字化 他
2026.03.05 補遺加筆,岸辺→土手,他誤植訂正
2026.03.06 末梢表現変更
2018.05.25 レイアウト更新 リード追記
2018.06.13 行間隔増加,…を鳴らし→ …と共に
2018.10.19 エコーバンクの→エコーバンクに 他末梢表現変更
2021.08.08 注)白鳥のとてつもない喜びの声 ソクラテスの言葉の引用補足
2023.12.31 注)に題名の訳語の説明を加筆,他
2024.05.15 リンク記載位置変更,レイアウト修正
2026.02.28 "horn"を含む行の訳文変更,行頭を大文字化 他
2026.03.05 補遺加筆,岸辺→土手,他誤植訂正
2026.03.06 末梢表現変更
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The Dying Swan
III.
The wild swan's death-hymn took the soul
Of that waste place with joy
Hidden in sorrow: at first to the ear
The warble was low, and full and clear;
And floating about the under-sky,
Prevailing in weakness, the coronach stole
Sometimes afar, and sometimes anear;
But anon her awful jubilant voice,
With a music strange and manifold,
Flow'd forth on a carol free and bold;
As when a mighty people rejoice
With shawms, and with cymbals, and harps of gold,
And the tumult of their acclaim is roll'd
Thro' the open gates of the city afar,
To the shepherd who watcheth the evening star.
And the creeping mosses and clambering weeds,
And the willow-branches hoar and dank,
And the wavy swell of the soughing reeds,
And the wave-worn horns of the echoing bank,
And the silvery marish-flowers that throng
The desolate creeks and pools among,
Were flooded over with eddying song.
III.
The wild swan's death-hymn took the soul
Of that waste place with joy
Hidden in sorrow: at first to the ear
The warble was low, and full and clear;
And floating about the under-sky,
Prevailing in weakness, the coronach stole
Sometimes afar, and sometimes anear;
But anon her awful jubilant voice,
With a music strange and manifold,
Flow'd forth on a carol free and bold;
As when a mighty people rejoice
With shawms, and with cymbals, and harps of gold,
And the tumult of their acclaim is roll'd
Thro' the open gates of the city afar,
To the shepherd who watcheth the evening star.
And the creeping mosses and clambering weeds,
And the willow-branches hoar and dank,
And the wavy swell of the soughing reeds,
And the wave-worn horns of the echoing bank,
And the silvery marish-flowers that throng
The desolate creeks and pools among,
Were flooded over with eddying song.
Ref. https://en.wikisource.org/wiki/The_Dying_Swan
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