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Cogito


東明の空の如く丘々をわたりゆく夕べの風の如く
はたなびく小旗の如く涕かんかな

或はまた別れの言葉の, こだまし, 雲に入り, 野末にひびき
海の上の風にまじりてとことはに過ぎゆく如く……

改訂情報:


- The Alexander Brothers : Nobody's Child 改訂が多岐に亘るため11/28付け改訂版をアップ

- ホセ・カレーラス「光さす窓辺」 対訳付き原語歌詞掲載

2017-06-11

中原中也「頌歌」


中原中也「未刊詩篇」より





頌歌


出で發たん!夏の夜は
霧と野と星とに向つて。
出で發たん、夏の夜は
一人して、身も世も輕く!
この自由、おゝ!この自由!
心なき世のいさかひと
多忙なる思想を放ち、
身に沁みるみ空の中に
悲しみと喜びをもて、
つつましく、かつはゆたけく、
歌はなん古きしらべを
霧と野と星とにれて、
歌はなん、夏の夜は
一人して、古きおもひを!

       (一九二九・七・一三)


中原中也 1929 未刊詩篇


出典:中原中也全詩集 P.464 1972 角川書店

注)かつは = 一方では
注)ゆたけく = 豊けく ゆったりと 豊かに
注)…なん = …なむ〔強い意志〕必ず…しよう


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