頌歌
出で發たん!夏の夜は
霧と野と星とに向つて。
出で發たん、夏の夜は
一人して、身も世も輕く!
この自由、おゝ!この自由!
心なき世のいさかひと
多忙なる思想を放ち、
身に沁みるみ空の中に
悲しみと喜びをもて、
つつましく、かつはゆたけく、
歌はなん古きしらべを
霧と野と星とに伴れて、
歌はなん、夏の夜は
一人して、古きおもひを!
霧と野と星とに向つて。
出で發たん、夏の夜は
一人して、身も世も輕く!
この自由、おゝ!この自由!
心なき世のいさかひと
多忙なる思想を放ち、
身に沁みるみ空の中に
悲しみと喜びをもて、
つつましく、かつはゆたけく、
歌はなん古きしらべを
霧と野と星とに伴れて、
歌はなん、夏の夜は
一人して、古きおもひを!
(一九二九・七・一三)
中原中也 1929 未刊詩篇
出典:中原中也全詩集 P.464 1972 角川書店
注)かつは = 一方では
注)ゆたけく = 豊けく ゆったりと 豊かに
注)…なん = …なむ〔強い意志〕必ず…しよう
注)かつは = 一方では
注)ゆたけく = 豊けく ゆったりと 豊かに
注)…なん = …なむ〔強い意志〕必ず…しよう
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