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Cogito


東明の空の如く丘々をわたりゆく夕べの風の如く
はたなびく小旗の如く涕かんかな

或はまた別れの言葉の, こだまし, 雲に入り, 野末にひびき
海の上の風にまじりてとことはに過ぎゆく如く……

改訂情報:


- The Alexander Brothers : Nobody's Child リードに加筆, 一部記述変更

- ホセ・カレーラス「光さす窓辺」 対訳付き原語歌詞掲載

2019-07-09

"愛の喜び" N.ムスクーリ & C.アズナヴール


およそ250年ほども前のフランスで作られた "愛の喜び"。ナナ・ムスクーリとシャルル・アズナヴールのデュエット…ハミングと詩の朗唱と共に。



この歌には、なぜかいい歌唱があまりない… いえ、それは私が知らないだけ、私が好まないものが多いだけ、なのかもしれませんが、そんな中にひとつキラリと光るデュエットを見つけました。

ところで、この素晴らしい歌が大西洋を超えると、あんな風にされてしまう "Can't Help Falling In Love"…… もったいないことよ、と思うのは私だけ、かも、やも。
しかし、いろいろなことが大西洋を越えると抜け殻のようにあるいは化物のようになってしまって…… それがまた太平洋を越えてこちらに来るとさらに…… あぁ…… 。

昔、この曲の冒頭部分がNHKラジオ第二放送の午後のクラシック音楽番組のテーマ曲に使われていました。まだFM放送も聞けなかった頃の大昔です。
それはオーケストラの序奏についでピアノのソロがメロディーを奏でる演奏で、私は長い間その曲を、誰の書いたピアノ協奏曲だろか、と疑問に思っていました。
ある日、その放送の時刻に兄と姉が居合わせた時に訊いてみました。これ、誰のピアノコンチェルトかな…?
そして、その答えにびっくり。「これ、シャンソンだよ、愛のなんとか……」。二人ともそういうのでした。
それですっかり興味半減してしまい、曲名や元のシャンソンについてはそのうち何か機会があるだろう… ということでそれまでの長い間の疑問には幕。

そのシャンソンを聴く機会はそう遠くなく訪れました。当時同じくラジオの第一放送で蘆原英了さんの解説によるシャンソンの番組があって、そこで歌手の名前も声も覚えていませんが女声の歌うマルティーニ作曲 "愛の喜び" を初めて聴きました… なるほど、これだ。

2020.04.1 加筆
そのころ、つまり大昔ですが、そのようにこの曲は "愛の喜び" という題名で呼ばれ親しまれていました。それなのに、なぜか昨今は "愛の喜びは" と呼ばれているようです。
このブログ記事も当初は埋込リンク先を鑑みて不本意ながら "愛の喜びは" と書いて掲載しました。しかし、どうしてもそれが腑に落ちないのです。
原題もまさにそのものずばり "愛の喜び" なのです。したがって、 "愛の喜びは" では、まず翻訳として違反であり失格です。
内容も、作者は愛の喜びを、それを失った時に長く続く悲しみと対比して、それと際立つ "愛の喜び" を歌っている、それ以外ではありません。そうではないと思う人は、愛にはそれを失った時の長く辛い悲しみが伴うということを、そういうものであることを、知らないあるいは知らなかった、そういう人なのでしょうか。
いったい、いつ誰がどのようにしてこの屁理屈に過ぎぬ不快な改悪を行ったのか、どうしてそれがそのまま罷り通るのか、それをそのまま受け入れる浮世…… 悲しいことだと思う、しかしそれも今の世にあってはやはり私だけか…… 自称浦太郎 (浦島太郎の略) たるゆえんです。


∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥


 
 
"Plaisir D'Amour"  
 
 "愛の喜び"  



 
Plaisir d'amour ne dure qu'un moment,
愛の喜びは 僅かしか続かない、

Chagrin d'amour dure toute la vie.
愛の悲しみは 生涯続く。
 
 

   humming ………

J'ai tout quitté pour l'ingrate Sylvie.
私は恩知らずのシルヴィのために すべてを捨てた。

   humming ………

Elle me laissé et prend un autre amant …un autre amant.
彼女は私を捨て 他の恋人をとった …他の恋人を。


   humming ………


 
Plaisir d'amour ne dure qu'un moment,
愛の喜びは 僅かしか続かない、

Chagrin d'amour dure …dure …dure, toute la vie …toute la vie.
愛の悲しみは 続く …続く …続く、生涯 …生涯。
 


humming ………  
Tant que cette eau coulera doucement
この水が穏やかに流れる限り

Vers ce ruisseau qui borde la prairie,
この草原に沿った小川へと、

humming ………

 
 
Je t'aimerai, me répétait Sylvie …Je t'aimerai
あなたを愛します、シルヴィは私に繰り返した …あなたを愛します

L'eau coule encore,
水は流れ続けているが、

 
elle a changé pourtant.
彼女は変わってしまった。



Plaisir d'amour ne dure qu'un moment,
愛の喜びは 僅かしか続かない、

Chagrin d'amour dure toute la vie.
愛の悲しみは 生涯続く。




Jean Pierre Claris de Florian "Plaisir D'Amour"
ジャン・ピエール・クラリ・ド・フローリアン "愛の喜び":土のちり 訳


原詩出典:ja.wikipedia.org


注)原詩に同一行内の語句の繰り返しはない. 上記は歌唱に合わせて記載し, 繰り返し語句を …でつなぐ
注)4行目の laissé は歌唱に合わせ記載 → 原詩は quitté. この文脈においてはいずれも同意



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Brava & Bravo !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

3'15"
"Plaisir D'Amour"
"愛の喜び"

Comp: Jean Paul Egide Martini
Lyrics: Jean Pierre Claris de Florian
Duo: Nana Mouskouri & Charles Aznavour


改訂:2019.07.10 ラジオ番組テーマ曲逸話加筆
2019.07.10 脱字訂正 あまりよう → あまりないよう
2019.07.11 レイアウト末梢変更 最新改訂情報をリーダーに表示
2019.07.13 アイコン埋込リンク誤記訂正
2020.03.25 原詩誤植訂正, レイアウト微調整, カテゴリー誤記訂正
2020.04.18 "愛の喜びは"→"愛の喜び", 変更理由加筆
2020.09.05 "愛の喜びは"→"愛の喜び", 変更理由補遺
2021.03.03 末梢表現変更
2021.06.17 歌詞色分け:Duet→黒, Charles→青, Nana→赤
2021.07.31 文字色変更
2023.05.18 末梢表現変更



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