その起源は、古代ギリシャ人がそう信じていたところにあるようです。
ギリシャの哲学者プラトンは著書「パイドン」の中で、死刑に処せられるその日のソクラテスに、次のように語らせています。
「白鳥は死ななければならないと気づくと、それ以前にも歌ってはいたが、そのときにはとくに力いっぱい、また極めて美しく歌うのである。それというのも、この鳥は神[アポロン]の召使いなのだが、その神のみもとへまさに立ち去ろうとしていることを、喜ぶからなのである。
ところが、人間たちは自分自身が死を恐れているから、白鳥についても嘘をつき、白鳥は死を嘆くあまりその苦痛のために別離の歌を歌うのだ、と言っている。」
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シューベルトの歌曲集「白鳥の歌」は、シューベルトの死後、出版業者によって選び纏められ、死の直前の美しい歌という意味を込めて「白鳥の歌」と名付けて出版されたといわれています。
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ビデオ・クリップは、バレー「去り逝く白鳥」。
白鳥を踊るのは、ボリショイ・バレエのプリマ、スヴェトラーナ・ザハーロワさん。
1905年、A・テニスンの詩 “The Dying Swan” に触発された、ロシアのバレリーナ アンナ・パヴロワ の依頼で、振付師 ミケル・フォーキンが、曲にサン=サーンスの「白鳥」を選び、詩の内容を振り付けたといわれる作品。
美しく凛として舞った白鳥が、ラストで、チェロの最後の音が長く続くあいだ、体を沈め、上体を大きく後ろに反らすとき、そして、前に戻るとき、よく見ると、白鳥の口が開きます……
それは、ソクラテスのいう、美しい喜びの歌……
それは、テニスンのうたう、とてつもない喜びの声……
然り。
だが、そうであっても、なお、切ない……。
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*このビデオにかぎり、フルスクリーンにして観ることをお薦めします。
*再生開始から10秒ほど後に演奏が始まります。
拡大すると解像力は十分ではないのですが、美しいフォルムが鮮烈。
・再生を開始してから、画面下、右端に現れる、四角のマークをクリックすると全画面表示に。
・元に戻るには、拡大画面右下端のクロスのようなマークをクリック、または ESC キーを押下。
・再生を開始してから、画面下、右端に現れる、四角のマークをクリックすると全画面表示に。
・元に戻るには、拡大画面右下端のクロスのようなマークをクリック、または ESC キーを押下。
*再生開始から10秒ほど後に演奏が始まります。
ミラノ・スカラ座の開演直前の画像。中央下部がオーケストラ・ピット。中央下端に小さく、白い譜面台をバックに、指揮者 D.Coleman の上体がシルエットで見られ、彼が挙げた手を振り下ろすと演奏が始まります。チェロのソロ、2台のハープの伴奏。
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Bravissima !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
3'25"
"The Dying Swan"
「去り逝く白鳥」
作曲: Camille Saint-Saens
振付: Michail Fokin
バレエ: Svetlana Zakharova
演奏: Orchestra del Teatro alla Scala
指揮: David Coleman
会場: Gala des étoiles 2015, Teatro alla Scala, Milano
「去り逝く白鳥」
作曲: Camille Saint-Saens
振付: Michail Fokin
バレエ: Svetlana Zakharova
演奏: Orchestra del Teatro alla Scala
指揮: David Coleman
会場: Gala des étoiles 2015, Teatro alla Scala, Milano
注)このバレーとテニスンの詩のタイトルは、いずれも "The Dying Swan"。
その邦訳は "瀕死の白鳥" とされることが多い。
しかし、"瀕死" という語は、死そのものを含まず、これを "Dying" の訳語とすると、この二つ作品の主題をスポイルしてしまう。
直訳すれば "死ぬ白鳥" となるところを、「神のみもとへまさに立ち去ろうとしている」といわれる意を込め "去り逝く白鳥" とした。
しかし、"瀕死" という語は、死そのものを含まず、これを "Dying" の訳語とすると、この二つ作品の主題をスポイルしてしまう。
直訳すれば "死ぬ白鳥" となるところを、「神のみもとへまさに立ち去ろうとしている」といわれる意を込め "去り逝く白鳥" とした。
LInk:アルフレッド・テニスン「去り逝く白鳥」
冒頭引用出典:プラトン BC427-BC347「パイドン」岩田晴夫訳 1998 岩波書店
改訂:2017.10.27 埋込動画のリンク先が変わっていたため新しいリンクに更新
2018.10.31 Brava → Bravissima
2019.01.13 末梢表現末梢レイアウト変更
2019.03.15 オリジナル動画リンク切れのため、同公演の別録画へのリンクに更新
2023.04.24 レイアウト更新他
2024.05.15 テニスン詩へのリンク記載変更, レイアウト修正
2018.10.31 Brava → Bravissima
2019.01.13 末梢表現末梢レイアウト変更
2019.03.15 オリジナル動画リンク切れのため、同公演の別録画へのリンクに更新
2023.04.24 レイアウト更新他
2024.05.15 テニスン詩へのリンク記載変更, レイアウト修正
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