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Cogito


東明の空の如く丘々をわたりゆく夕べの風の如く
はたなびく小旗の如く涕かんかな

或はまた別れの言葉の、こだまし、雲に入り、野末にひびき
海の上の風にまじりてとことはに過ぎゆく如く……

2017-07-21

中原中也「夏の日の歌」


中原中也「山羊の歌」より





夏の日の歌


靑い空は動かない、
ぎれ一つあるでない。
  夏の眞昼の静かには
  タールの光も淸くなる。
夏の空には何かがある、
いぢらしく思はせる何かがある、
  げて圖太い向日葵ひまはり
  田舎の驛には咲いてゐる。
上手に子供を育てゆく、
母親に似て汽車の汽笛は鳴る。
  山の近くを走る時。
山の近くを走りながら、
母親に似て汽車の汽笛は鳴る。
  夏の眞昼の暑い時。


中原中也 1934 山羊の歌


出典:中原中也全詩集 P.40 1972 角川書店


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