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Cogito


東明の空の如く丘々をわたりゆく夕べの風の如く
はたなびく小旗の如く涕かんかな

或はまた別れの言葉の、こだまし、雲に入り、野末にひびき
海の上の風にまじりてとことはに過ぎゆく如く……

2017-07-16

ありがとう M. ジョルジュ・プレートル


この頃は、新聞も読まず、ラジオも聞かず、テレビもほとんど見ることなく、すっかり浦島太郎になりきってしまっていて…… 昨夕初めて知った悲しいできごと。
92歳で現役であった、ジョルジュ・プレートル氏が、去る1月4日、亡くなりました。遅ればせながら、哀悼の意を表します。



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たくさんの素晴らしい音楽を楽しませて頂きました。
ありがとうございます。
どうか安らかにお休み下さい。

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プレートル氏の指揮による「カバレリア・ルスティカーナ 間奏曲」は、私にとって、まさに、唯一無二、代替え不能な音楽です。
昨年1月のブログでは、この演奏を “今際の際に聴きたい曲” として記しました。

若い頃のプレートル氏は、その青い目とスポーツで鍛えられた体で、映画俳優としても成功したであろうことは疑いなかった。
しかし、指揮者としてのバトンを握った彼は、マリア・カラスとフランシス・プーランクによる絶賛を得て、音楽に生涯を捧げるに至った。(*ref.1)

プレートル氏は、自身を ”指揮者” ではなく “介錯者” であり、“産科医” として、次々と生まれてくるテキスト(楽譜の意か?)を確固たる命にする役割を果たす者だ、という。(出典廃忘)
また、50年間続いたウィーン交響楽団との関係も、いわく、「これは “恋愛関係” だから」ということで、”婚姻関係” となる常任指揮者にはならず、名誉・首席客演指揮者であり続けた。(*ref.2)

なるほど、そういえば、彼の指揮ぶりは、指揮棒は持ったり持たなかったり、 オーケストラに対して、終始腕を振り続けたり、絶えずリズムとテンポを規定するようなことはしていません。
オーケストラの奏者に対して、また聴衆に対しても同様に、伝えたい内容、つまり彼の解釈、があれば、喜怒哀楽を表情や身振りで表し、時には踊るように体を揺らしたりします。
楽しい優しい曲想の部分では、体では何もせず、ただ立って心地良さそう聴き入っていたりもします。

ということは、彼にとって音楽とは非常に強いセンティメント(*あるいは情操的?)なもの、なのではないだろうか。
そうであると、そのあたりに、私の琴線に触れる部分があるのかもしれない。

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昨年の2月にミラノ・スカラ座でのコンサートを終えた後、プレートル氏は足を悪くして続く公演を全てキャンセルしていたところ、10月11日・12日に、ラスト・コンサートと銘打ったウィーン交響楽団の公演でタクトをとりました。

クリップは、2016年10月12日、ウィーン楽友協会大ホール、観客が舞台袖上の席から撮ったものと思われます。
公演2日目の最後の演目、ラベルのボレロを終えた後のカーテンコールの模様、アンコールは、ヨハン・シュトラウス II「天国と地獄(後半のみ)」。
この、「天国と地獄」がプレートル氏の最後の公演となったと思われます。

拍手と歓声に手を振って答え、杖をついてゆっくりゆっくり舞台の袖に消え、70年に及ぶ解釈に幕を下ろした………


    Bravo !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

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“Orpheus-Quadrille (Last half)”
Comp. Johann Strauss II
Orch. Wiener Symphoniker
Cond. Georges Prêtre


Ref.1: Le Monde, 04.01.2017 à 19h04 • Mis à jour le 06.01.2017 à 15h13

Ref.2: Wiener Symphoniker,
   https://www.wienersymphoniker.at/de/news/2017/1/memoriam-georges-prêtre


注)センティメント =ここでは、理性・知性に対する情緒的なもの全ての意. より適切な表現を思いつかず苦し紛れ
注)次の2つのオーケストラは、同じウィーン市にある、それぞれ独立したオーケストラです。「朝日新聞デジタル」もフランスの「FRANCE 24 (ネットニュース)」も、これらを混同して報道しているので、敢えてここに記します。

  ・ウィーン交響楽団: Wiener Symphoniker
  ・ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団: Wiener Philharmoniker


改訂:2017.07.16 補遺 末梢訂正・改訂
   2020.01.08 レイアウト更新. 末梢表現加筆訂正
   2020.07.04 誤字訂正 解釈者→介錯者



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