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Cogito


東明の空の如く丘々をわたりゆく夕べの風の如く
はたなびく小旗の如く涕かんかな

或はまた別れの言葉の、こだまし、雲に入り、野末にひびき
海の上の風にまじりてとことはに過ぎゆく如く……

2017-12-09

中原中也「盲目の秋 II 」


中原中也「山羊の歌」より



盲目の秋



   II


これがどうなろらうと、あれがどうならうと、
そんなことはどうでもいいのだ。

これがどういふことであろらと、それがどういふことであらうと、
そんなことはなほさらどうだつていいのだ。

人には自恃があればよい!
その餘はすべてなるまゝだ……

自恃だ、自恃だ、自恃だ、自恃だ、
ただそれだけが人の行ひを罪としない。

平気で、陽氣で、藁束のやうにしむみりと、
朝霧を煮釜に塡めて、跳起きられればよい!


中原中也 1934 「山羊の歌」


出典:中原中也全詩集 P.60 1972 角川書店

注)自恃 = じじ 自分自身をたのみとすること 自負(大辞林)
注)餘 = あまり ほか
注)藁束 = わらたば
注)塡めて = つめて(U.D.)
注)跳起き = とびおき


関連記事: 「盲目の秋 I」 「盲目の秋 III」


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