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Cogito


東明の空の如く丘々をわたりゆく夕べの風の如く
はたなびく小旗の如く涕かんかな

或はまた別れの言葉の、こだまし、雲に入り、野末にひびき
海の上の風にまじりてとことはに過ぎゆく如く……

2017-12-27

古いにしへ思ほゆ

題詞:柿本朝臣あそみ人麿の歌一首




近江あふみ 夕波千鳥ゆふなみちどり が鳴けば 

心も しのに いにしへ思ほゆ



柿本人麿かきのもとのひとまろ:萬葉集 266


注)柿本人麻呂屈指の名歌と定評がある(大系)
注)近江の海=琵琶湖(辞典)
注)夕波千鳥=夕波と千鳥の体言を重ねる造語(大系)
注)しのに=悲しみなどで しっとり しみじみした気分になって(辞典)
注)古思ほゆ=近江朝の栄枯盛衰を偲んだかと言う(『全注釈』- 大系)


∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴

注) =(ここではルビを訂正して掲載)出典は、ルビを「ウミ」としているが、それはおかしい。
これは、大昔、中学か高校か忘れたが「オウミ ノ ミ」と習った。
「オウミ ノ ウミ」で、字余り… まさか。
誤植を校正者が見逃したのだとは思いますが…。
それにしても間の悪い誤植で、5名もの校註者が名を連ねているのが、滑稽になってしまいました。

参照した同じ岩波の古語辞典には、見出し語として次があります。
(学研の全約古語辞典にも同様な見出し語がある)。

 み【海】《ウミ の ウ が直前の母音に融合した形》海(うみ)

同じく参照した小学館の全文全訳古語辞典にも、見出し語として次があります。

 み【海】〔名〕「うみ (海)」の略。

これらを根拠にルビを訂正して掲載しました。

注)参照した新編日本古典文学全集のこの短歌の掲載を見ると「海」の文字にルビを振っていない。
これもまたおかしい。
全く標準的な読みである「夕波千鳥」にルビを振っていながら、この特殊な読みをする「海」にルビを振らず、注釈に何の言及もない。
それとも「オウミ ノ ウミ」が正しく、この句は字余り、よって普通に読む「海」にルビを振る必要はない…。
そのように、ミ と読むことに異論があるのなら、注釈にそう書くべし。それが注釈に求められる機能。
編集者も校註者も、いったい何を考えているのか理解できない。


出典:新日本古典文学大系 萬葉集1 2000 岩波書店
参照:新編日本古典文学全集 萬葉集1 1999 小学館
  :岩波 古語辞典 補訂版 1990 岩波書店
  :小学館 全文全訳古語辞典


改訂:20180707 参照辞典追加および関連記述追記


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