野口雨情の「波浮の港」が発表される前の年の大正11年 (1922年)、勝 田 香月 が発表した詩「出船」。
遠い別れを、4行詩2節に詠います。
遠い別れを、4行詩2節に詠います。
先日、「動画 "令和8年1月3日 おがさわら丸 出航"」の荒海で浮沈する船の姿を見ながら思ったのが次の一節「無事でついたら 便りをくりゃれ」。
これは大正時代のヒット曲「出船」の歌詞の一節。その元なる詩は勝田香月氏が22歳にして出版した第3詩集「心のほころび」の巻頭に掲げられている「出船」。
「香月は大正七年の冬に、啄木碑を北上川に尋ね、十和田湖への途次の大滝温泉の宿で「出船」の詩は出来たと自ら述懐している。」-沼津市若山牧水記念館館報 第34号
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大正七年(1918年)の冬といえば、1899年3月生まれの香月は、18歳!
今でいえば、高校三年生が卒業を前にこの詩を書いた…
… またしてもじっと手を見る浦太郎。
思えば六年前、小口太郎氏が19歳の時に「琵琶湖周航の歌」を書いたと知った時以来。
勝田香月氏の出身は静岡県沼津市… そこは私の第二のふる里、幼少期の8年ほどを過ごした追憶の地。
……
「ああ おまえはなにをして来たのだと…… 吹き来る風が私に云う」- 中原中也「帰郷」
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出 船
今宵出船か お名残惜しや
暗い波間に 雪が散る
船は見えねど 別れの小唄に
沖ぢや千鳥も 泣くぞいな
今鳴る汽笛は 出船の合図
無事で着いたら 便りをくりやれ
暗いさみしい 燈影の下で
涙ながらに 読もうもの
暗い波間に 雪が散る
船は見えねど 別れの小唄に
沖ぢや千鳥も 泣くぞいな
今鳴る汽笛は 出船の合図
無事で着いたら 便りをくりやれ
暗いさみしい 燈影の下で
涙ながらに 読もうもの
勝 田 香月
勝田香月 1922「出船」 第3詩集「心のほころび」
勝田香月 1922「出船」 第3詩集「心のほころび」
注)ぞいな=ぞ‐い[連語]《終助詞「ぞ」+ 終助詞「い」。近世語》活用語の終止形に付いて、単独の「ぞ」よりいくぶん柔らかい、聞き手への働きかけの気持ちを表す。終助詞「な」「なあ」「の」などを伴うこともある(大辞泉)
注)くりやれ=くりゃれ 〔くりゃる•動ラ四•「く(呉)れやる」の音変化》1「くれる」に軽い尊敬の意を添える。くださる。(大辞泉) その命令形で: ください (俗解)
注)読もうもの=〔読む•マ行四段•未然〕+う〔助動•推量/意志/仮定/当然〕+もの〔終助•逆/順接な詠嘆〕…だから (全文) 訳: 読むから (俗解)
歌詞出典:沼津市若山牧水記念館館報 第34号
来歴出典:勝田香月記念碑説明文(沼津市教育委員会)
来歴出典:勝田香月記念碑説明文(沼津市教育委員会)
参照:小学館 全文全訳 古語辞典 2004 小学館 (全文)
大辞泉 1995 小学館 (大辞泉)
大辞泉 1995 小学館 (大辞泉)
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この「出船」ともう一曲「波浮の港」の二つの曲の同じ無名氏によるものと思われる歌唱が大変素晴らしい。おおらかで伸びやか、そして歌う対象への慈愛の滲むあたたかい歌声…
Bravo !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
2'34"
出 船
作詞:勝田 香月
作曲:杉山 長谷夫
歌唱:不詳
動画画面は、岡田嘉子主演のメロドラマ「泣き濡れた春の女よ」1933年公開 より
作詞:勝田 香月
作曲:杉山 長谷夫
歌唱:不詳
動画画面は、岡田嘉子主演のメロドラマ「泣き濡れた春の女よ」1933年公開 より
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