朝の歌
天井に 朱きいろいで
小鳥らの うたはきこえず
樹脂の香に 朝は惱まし
ひろごりて たいらかの空、
戸の隙を 洩れ入る光、
鄙びたる 軍楽の憶ひ手にてなす なにごともなし。
小鳥らの うたはきこえず
空は今日 はなだ色らし、
倦んじてし 人のこころを諫めする なにものもなし。
樹脂の香に 朝は惱まし
うしなひし さまざまのゆめ、
森竝は 風に鳴るかなひろごりて たいらかの空、
土手づたひ きえてゆくかな
うつくしき さまざまの夢。中原中也 1907-1937「山羊の歌」- 初期詩篇 より
出典:中原中也全詩集 P.18 1972 角川書店
注)鄙びたる=ひなびたる
注)憶ひ=おもい
注)はなだ色 = 薄い藍色
注)倦んじ=うんじ 諦める 嫌になる
注)諫めする=いさめする いさめること 忠告 諫言
注)森竝 = 森、林、など
注)鄙びたる=ひなびたる
注)憶ひ=おもい
注)はなだ色 = 薄い藍色
注)倦んじ=うんじ 諦める 嫌になる
注)諫めする=いさめする いさめること 忠告 諫言
注)森竝 = 森、林、など
改訂: 2018.04.18 レイアウト変更 プロパティ変更 ルビ有無訂正 新旧仮名遣い訂正 注釈加筆
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