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Cogito


東明の空の如く丘々をわたりゆく夕べの風の如く
はたなびく小旗の如く涕かんかな

或はまた別れの言葉の, こだまし, 雲に入り, 野末にひびき
海の上の風にまじりてとことはに過ぎゆく如く……

2016-07-20

中原中也「妹よ」


「山羊の歌」より




  妹よ


夜、うつくしい魂はいて、
  ――かの女こそ 正當あたりき なのに――
夜、うつくしい魂は涕いて、
  もう死んだつていいよう……といふのであつた。

濕つた野原の黑い土、短い草の上を
  夜風は吹いて、 
死んだつていいよう、死んだつていいよう、と、
  うつくしい魂は涕くのであつた。

夜、み空はたかく、吹く風はこまやかに
  ――祈るよりほか、わたくしに、すべはなかつた……



中原中也 1934 「山羊の歌」



注)中也に妹はなく、ここでは、 妹 = いも
注)あたりき = あたり前

出典:中原中也全詩集 P.66 1972 角川書店


関連記事:「いたいよ〜、と」


改訂:2018.05.19 字体及び仮名遣いを新から旧へ変更 レイアウト変更 出典 P.No 誤記訂正
2018.07.02 アイコンリンク修正
2019.07.05 関連記事リンク追記




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