夏は青い空に……
夏は青い空に、白い雲を浮ばせ、
わが嘆きをうたふ。
わが知らぬ、とほきとほきとほき深みにて
青空は、白い雲を呼ぶ。
わが嘆きわが悲しみよ、かうべを昂(あ)げよ。
――記憶も、去るにあらずや……
湧き起る歓喜のためには
人の情けも、小さきものとみゆるにあらずや
ああ、神様、これがすべてでございます、
尽すなく尽さるるなく、
心のままにうたへる心こそ
これがすべてでございます!
空のもと林の中に、たゆけくも
仰(あほ)ざまに眼(まなこ)をつむり、
白き雲、汝(な)が胸の上(へ)を流れもゆけば、
はてもなき平和の、汝がものとなるにあらずや
中原中也 1968「中原中也詩集」角川書店
注)たゆけくも → たゆけし = 疲れて力がない。だるい。(三省堂大辞林)
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