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cogito ......


東明しののめ の空の如く丘々をわたりゆく夕べの風の如く
はたなびく、、、、、小旗の如く涕なかんかな

    或あるはまた別れの言葉の、こだまし、雲に入り、野末にひびき
    海の上への風にまじりてとことはに過ぎゆく如く……

       中原中也「老いたる者をして」- 詩集「在りし日の歌」より

2026-08-25

オオミズアオ:永遠の戦士の勲章


さなぎ から羽化すると、オオミズアオは、口と、消化器、が退化した身体に生まれ変わる。
成虫である生涯、一滴の水も、蜜も、塩も、摂らない摂れない、補給しない。


羽化したその時から、肉体の消耗と老化に対峙し、それに耐えて、生きる。
そして、食欲に時間と労力を費やすことなく、ただ子孫を残すためだけに、生きる。
成虫としての生存期間はモンシロ蝶やアゲハ蝶など多くの蝶類の1~2週間より短く、1週間か長くても10日ほどと言われている。

日々の栄養補給がなければ、新陳代謝も、傷の修復もないのだろうか… 翅が激しく痛んだ個体を見かけることが多いが、その原因は生存競争の争いによるものではなく、天敵に追われたり、日常的に木々の枝葉に接触するなどして傷つくことが多いせいと言われる。

写真は、以前住んでいた集合住宅のポーチの床、その真中あたりに留まって動かなくなっていたオオミズアオ。後翅はほぼ全てなく、辛うじて原型を保っているのは腕の骨に相当する左右一対の主 翅脈しみゃく のみ。羽としての機能の7,8割が失われてしまっているようで、飛翔に力尽き、決して安全とは思えぬ場所に、そこを選ぶでも避けるでもなく落ちて動けなくなっているかのようだった…

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君もまた、その与えられた生を、極限まで全うした。
ボロボロに破れ残った羽は、生きた履歴書、その生き様に与えられた勲章。

食欲と性欲の二大欲求から食欲を捨て去ったオオミズアオ。その存在が明らかにするのは、生まれくる生命というもの、それが生き続ける目的が "種の保存" 以外にないことの証。それ以外の諸々は全て、食欲でさえも否定されている。

そして、君もまた、その生きた履歴書と勲章をもって証しする。死が、救いであり希望であることを。


注)二大欲求=睡眠を含めた三大欲求の語が日本語で広く用いられているが、睡眠は基本的な欲求ではない。それは休息を必要とする肉体がもたらす機能であって、人の精神(意志)に働きかけその充足を図らせる欲求ではない。かえって、もうしばらく絶対に眠りたくないとの強い意志を持っていても、肉体的な機能には勝てず、眠りに落ちてしまうことも多々ある。例:居眠り運転。(土のちり)

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"オオミズアオ:永遠の戦士の勲章" 前翅スパン≒12cm 2013 八王子

参考:健全な翅を持つオオミズアオの個体 フリー写真素材


改訂:2026.08.27 タイトル変更を含む全面加筆改定
2026.09.04 末梢表現変更
2026.09.10 誤植変換ミス訂正



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