改訂:2019.10.08 旧字旧かなづかひ
秋の日
磧づたひの 竝樹の 蔭に
秋は 美し 女の 瞼泣きも いでなん 空の 潤み
昔の 馬の 蹄の 音よ長の 年月 疲れの ために
國道 いゆけば 秋は 身に沁むなんでも ないてば なんでも ないに
木履の 音さえ 身に 沁みる陽は今 磧の 半分に 射し
流れを 無形の 筏は とほる野原は 向ふで 伏せつて ゐるが
連れだつ 友の お道化た 調子も
不思議に 空氣に 溶け 込んで
秋は 案じる くちびる 結んで中原中也 1938 「在りし日の歌」より
出典:中原中也全詩集 P.176 1972 角川書店
注)磧=かわら, 川原
注)竝樹=なみき, 並木
注)無形=むぎょう, 形として現れないこと. また, そのものや, そのさま (大辞泉)
注)筏=いかだ, 木材・竹などを並べて結び合わせ, 水に浮かべる物. 木材の運搬や舟の代わりに用いる (大辞泉)
注)木履=ぽくり, ぽっくり
改訂:2019.10.08 旧字体及び旧仮名遣へ変更, レイアウト更新, 出典追記
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