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cogito ......


東明しののめ の空の如く丘々をわたりゆく夕べの風の如く
はたなびく、、、、、小旗の如く涕なかんかな

    或あるはまた別れの言葉の、こだまし、雲に入り、野末にひびき
    海の上への風にまじりてとことはに過ぎゆく如く……

       中原中也「老いたる者をして」- 詩集「在りし日の歌」より

2026-08-05

ラフォルグ:「月の出前の對話」


詩集「苦情」より


月の出前の對話


ーーそりゃあ眞しんの生活もしてはみたいさ、だがね、理想といふものは、あまり漠ばくとしてゐる。

ーーそこが理想なんだ、理想の理想たるところだ。
譯わけが解わかるくらるなら、別の名がつく。

ーーしかし、何事も 不確 ふたしかな世の中だ。哲學また哲學、生れたり、 刺 違 さしちがへたり、まるで筋すじが立つてゐない。

ーーさうさ、眞しんとは生いきるのだといふんだもの、
絶對なんざあ、たつ瀬せがあるまい。

ーーひとつ旗を下おろして了しまはうか、えい、
お荷物はすつかり虚無きょむへ渡して了しまはう。

ーー空そらから吹きおろす無邉むへんの風の聲こえがいふ、
「おい、おい、ばかもいゝ加減にしなさい。」

ーーもつとも、さうさな「可能かのう」の 工 場 こうぢやうの汽笛は、
「不可思議」のかたへ向つて唸うなつてはゐる。

ーー 共間唯一歩 そのかんたゞいつぼだ。なるほど 黎明 しのゝめと
曙あけぼののあはひのちがひほどである。

ーーそれでは、かうかな、現實とは、少すくなくとも
「或物」に對して益があるといふことか。

ーーそこでかうなる、ねえ、さうぢゃないか、
薔薇ばらの花は必要であるーー其その必要に對してと。

ーー話が少すこし妙めうになつて来たね、すべては循環論法に入はいつてくる。

ーー循環はしてゐるが、これが凡すべてだ。
           ーー何なんだ、さうか、
なら、いつそ月の方ほうへいつちまはう。



Jules Laforgue 1885 "Dialogue avant le Lever de la Lune" de "Les Complaintes"

ジュル・ラフォルグ「月の出前の對話」詩集「苦情」 より:上田敏 訳


注)あはひ=(物と物との)あいだ. すきま(全文)

注)日本語表記法の弱点を修正。
この詩のタイトルにある「月の出前の」の文字列が「月の “出前” の」と直感されてしまう恐れが強いため、文字間隔を微調整し「月の出前の對話」としてあります。この点で出典からの正確な引用を逸脱しています(土のちり)


出典:上田敏全訳詩集 1962 岩波書店
参照:小学館 全文全訳 古語辞典 2004 小学館(全文)


改訂:2025.08.06 オリジナル訳詩タイトル復帰
2026.08.23 スマートフォンの文字サイズ異常表示に応急処置をした後, IOS が勝手に文字サイズをスケールアップすることを全面禁止するコマンドを当ブログのHTMLに書込み一件落着.



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