Click Icon or Scroll

cogito ......


東明しののめ の空の如く丘々をわたりゆく夕べの風の如く
はたなびく、、、、、小旗の如く涕なかんかな

    或あるはまた別れの言葉の、こだまし、雲に入り、野末にひびき
    海の上への風にまじりてとことはに過ぎゆく如く……

       中原中也「老いたる者をして」- 詩集「在りし日の歌」より

2026-10-15

中原中也「カフェーにて」

「未刊詩篇」より

  自然よりよいものは、さらにもないと、
   悟りすましてひえびえと





  カフェーにて


酔客の、さわがしさのなか、
ギタアルのレコード鳴つて、
今晩も、わたしはここで、
ちびちびと、飲み更かします

人々は、挨拶交はし、
杯の、やりとりをして、
秋寄する、この宵をしも、
これはまあ、きらびやかなことです

わたくしは、しょんぼりとして、
自然よりよいものは、さらにもないと、
悟りすましてひえびえと

ギタアルきいて、身も世もあらぬ思ひして
酒啜ります、その酒に、秋風泌みて
それはもう結構なさびしさでございました


中原中也 1907-1937 未刊詩篇



出典:中原中也全詩集 P.484 1972 角川書店

注)ギタアル=ギターの旧仮名遣い
注)飲み更します=飲み (夜を) ふかします
注)挨拶=あいさつ
注)啜ります=すすります
注)沁みて=しみて



0 件のコメント:

コメントを投稿

    ********** 投稿要領 **********
1. [公開] ボタンは記入内容を管理者に送信し即公開せず
  (サイト劣悪仕様により不適切ボタン名の変更不能)
2. 非公開希望の場合, その旨記述し同ボタンで送信下さい
3. 送信内容は管理者の許諾を得た後公開されるのが原則
4. 反公序良俗, 政治的偏向, 宣伝, 他サイト誘導 等は不可
    ****************************

▲