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Cogito


東明の空の如く丘々をわたりゆく夕べの風の如く
はたなびく小旗の如く涕かんかな

或はまた別れの言葉の、こだまし、雲に入り、野末にひびき
海の上の風にまじりてとことはに過ぎゆく如く……

2020-05-08

ライナー.M.リルケ「私は自分の生いのちを」


「時禱詩集」より




私は自分のいのち


私は自分のいのちを、成長する幾つかの環のかたちで生きる。
それらの輪は あらゆる物の上に描かれる。
おそらく私は最後の輪を 仕上げることはあるまい。
しかしそれを私は試みよう。

私は神の周りに輪を描くーー神はまことに古い塔だ。
私はめぐりめぐっているーー数千年ものあいだ。
いったい自分は 一羽の鷹だろうか、一つの大風おおかぜだろうか!
それとも大きな一つの賛歌だろうかーー自分にはわからない。



Reiner Maria Rilke、“Ich lebe main Leben“ aus “Das Stunden-Buch (1896-1898)“
ライナー・マリア・リルケ「私は自分のいのちを」時禱詩集 (1899-1906) より:片山敏彦 訳




出典:リルケ詩集 片山敏彦 訳 1962 みすず書房




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