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Cogito


東明の空の如く丘々をわたりゆく夕べの風の如く
はたなびく小旗の如く涕かんかな

或はまた別れの言葉の, こだまし, 雲に入り, 野末にひびき
海の上の風にまじりてとことはに過ぎゆく如く……

2020-03-11

H. ハイネ「月空にさし登り」


詩集「歌の本」より

 ‥‥わだつみに呑まれて死にし
   わが姉ら人魚と成りて歌へるなり

 改訂:20200311 レイアウト変更再掲載




月空にさし登り


月空にさし登り
波のにあまねく照れり。
われ君に寄り添ひて
君とわれ心波立つ

なつかしきかひなにもたれ
わが憩ふ濱に人ず。
「吹く風に何の聞こゆる? 何ゆゑに
君が白き手のかくもふるへる?」

「吹く風のおとにはあらじ。
人魚らが波に歌へり。
わだつみに呑まれて死にし
わが姉ら人魚と成りて歌へるなり。」




Heinrich Heine 1827 Der Mond ist aufgegangen aus Buch der Lieder
ハインリッヒ・ハイネ「月空にさし登り」歌の本 より:片山敏彦 訳


出典:新譯 ハイネ詩集 片山敏彦 訳 1938 新潮社

注)わだつみ=わたつみ, 海神, 海の神, 転じて 海, 海原 (俗解)


新譯 ハイネ詩集 片山敏彦 訳 1938 新潮社 p.68



改訂:20200311 レイアウトを変更し再掲載



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