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Cogito


東明の空の如く丘々をわたりゆく夕べの風の如く
はたなびく小旗の如く涕かんかな

或はまた別れの言葉の, こだまし, 雲に入り, 野末にひびき
海の上の風にまじりてとことはに過ぎゆく如く……

2019-02-11

ハインリッヒ・ハイネ「月の光に」


遺詩集 - より

改訂:2019.07.15 アイコン埋込リンク誤記訂正



月の光に


月の光に海は凪ぎて
波のささやく聲もひくし。
心に重き憂ひ湧きて
古きしらべをわれは想ふ。

古きしらべはわれに語る、
海に沈みし古き町より
鐘と祈りのひびき鳴りて
海の底より聽こえ來たると。

鐘と祈りのおとひびくとも
沈みし町をいかで救はん、
ひとたび海に沈みしものの
再び歸るときはあらじな。



Heinrich Heine 1797-1856 "Im Mondenglanze" aus Nachlese
ハインリッヒ・ハイネ 1797-1856 「月の光に」 遺詩集 より:片山敏彦 訳



出典:新譯 ハイネ詩集 片山敏彦 訳 1938 新潮社


注)凪ぎて=なぎて 波もなく静まって


改訂:2019.03.03 注)を加筆
2019.07.15 アイコン埋込リンク誤記訂正
2019.11.07 注釈誤植訂正, リーダー追記文字スタイル変更



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