月の光に
月の光に海は凪ぎて
波のささやく聲もひくし。
心に重き憂ひ湧きて
古きしらべをわれは想ふ。
古きしらべはわれに語る、
海に沈みし古き町より
鐘と祈りのひびき鳴りて
海の底より聽こえ來たると。
鐘と祈りの音ひびくとも
沈みし町をいかで救はん、
ひとたび海に沈みしものの
再び歸るときはあらじな。
波のささやく聲もひくし。
心に重き憂ひ湧きて
古きしらべをわれは想ふ。
古きしらべはわれに語る、
海に沈みし古き町より
鐘と祈りのひびき鳴りて
海の底より聽こえ來たると。
鐘と祈りの音ひびくとも
沈みし町をいかで救はん、
ひとたび海に沈みしものの
再び歸るときはあらじな。
Heinrich Heine 1797-1856 "Im Mondenglanze" aus Nachlese
ハインリッヒ・ハイネ 1797-1856 「月の光に」 遺詩集 より:片山敏彦 訳
ハインリッヒ・ハイネ 1797-1856 「月の光に」 遺詩集 より:片山敏彦 訳
出典:新譯 ハイネ詩集 片山敏彦 訳 1938 新潮社
注)凪ぎて=なぎて 波もなく静まって
改訂:2019.03.03 注)を加筆
2019.07.15 アイコン埋込リンク誤記訂正
2019.11.07 注釈誤植訂正, リーダー追記文字スタイル変更
2019.07.15 アイコン埋込リンク誤記訂正
2019.11.07 注釈誤植訂正, リーダー追記文字スタイル変更
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