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Cogito


東明の空の如く丘々をわたりゆく夕べの風の如く
はたなびく小旗の如く涕かんかな

或はまた別れの言葉の, こだまし, 雲に入り, 野末にひびき
海の上の風にまじりてとことはに過ぎゆく如く……

2019-02-14

中原中也「雪が降っている」


中原中也 未刊詩篇より




雪が降つている……



雪が降つてゐる、
  とほくを。
雪が降つてゐる、
  とほくを。
捨てられた羊かなんぞのやうに
  とほくを、
雪が降つてゐる、
  とほくを。
たかい空から、
  とほくを、
とほくを
  とほくを、
お寺の屋根にも、
  それから、
お寺の森にも、
  それから、
たえまもなしに。
  空から、
雪が降つてゐる
  それから、
兵營にゆく道にも、
  それから、
日が暮れかゝる、
  それから、
喇叭がきこゑる。
  それから、
雪が降つてゐる、
  なおも。


(1929.2.18)               



中原中也 1907-1937 未刊詩篇



出典:中原中也全詩集 P.451 1972 角川書店

注)喇叭= ラッパ



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