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Cogito


東明の空の如く丘々をわたりゆく夕べの風の如く
はたなびく小旗の如く涕かんかな

或はまた別れの言葉の、こだまし、雲に入り、野末にひびき
海の上の風にまじりてとことはに過ぎゆく如く……

2017-05-22

ガブリエル・フォーレ「パヴァーヌ」を弾く


作曲者であるガブリエル・フォーレ自身がピアノ演奏する「パヴァーヌ」。




Welte-Mignon 社製のピアノロールに記録されている、フォーレ自身の演奏を、専用の再生用ピアノで自動演奏しているものです。

したがって、自動再生装置を組み込まれているとはいえ、鳴っているのは本物のピアノのメカニズムの音です。
いかにも ”今日的” な、生々しい音がして、なにかタイムスリップしたような気分になり、ちょっとした感慨です。

1913年、フォーレ68歳の頃の演奏です。

演奏が始まって一番に感じたことは、あぁ、フォーレはやはりフランス人だ・・・。
聴けば聴くほど、フランスの香りが・・・どこがどうと言葉ではうまくいえないのですが・・・ 聴いていて可笑おかしくなってしまうほどフランス風。
強いて言えば、フランス語の抑揚の特徴そのままに、フレーズの後ろの方にアクセントを置く、それが色濃く出ているように思います。
そして、”軽い” 。
軽いと言い切っては語弊がありますが、悲しみや苦しみの表現の中にもありうる、ある種の”軽さ”、 あるいは、あまりウェットになりすぎないさらっとした感覚、のようなものを感じます。
端的に言えば、エスプリ。

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ピアノロールというのは、演奏家の鍵盤操作を紙のロールに記録し、それを再生用ピアノの装置に装填して自動演奏をさせるもの。

演奏家が、鍵盤操作の記録装置を取りつけたピアノで演奏し、その鍵盤操作に応じて穴が開いている紙のロールを作る。これがピアノロールと呼ばれる。
記録済みのピアノロールは、再生用ピアノに組み込まれている再生装置に装填し、装置を動かすと、本物のピアノが鳴り演奏が再現される。

19世紀末から、前世紀初頭にSPレコードが実用化されるまでの間、ヨーロッパで広く用いられたといわれています。
しかし、記録済みのピアノロールは改ざんが容易であるため、ミスタッチを直したり、実際より早く再生されるようにしたりする、などがよく行われたとのこと。
また、演奏上の細かなニュアンスは再現されにくく、同音キーの連打ができない、などの機械的な限界もある由。

というわけで、実際の演奏がどこまで忠実に記録されているか判らないため、残念ながら、再生される演奏を鵜呑みにするわけにはいかないようです。

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Pavane””
作曲: Gabriel Fauré Pf: Gabriel Fauré
装置: Welte-Mignon Piano-Roll 1913


このビデオクリップに寄せられていたコメントに面白いものがあったので引用します。

投稿者:Onur Sencan;

偉大な作曲家が偉大な演奏者である必要はない :)


投稿者:taudou;

私も、以前あなたと同じように考えました。

その後、指揮者マニュエル・ローゼンタールが、自分の先生である作曲家モーリス・ラヴェルについて、語っているのを聞いたことがあります。

それは、ラヴェルが、教え子のコンサート前のオーケストラ•リハーサルの指揮に対して、同意しなかった(いわく、私はそのテンポで書いていない、云々)。

そして、コンサートが終わってから、ローゼンタールに言った、

 「君は、私が君に言ってきたことを覚えているかい?
  こういう風に演奏するんじゃない……
  …… しかし、最終的には、”君” は正しいよ」:)

ありがとう、ラヴェルさん、一つの楽譜には非常に多くの解釈がありうることを教えてくれて。



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