村の時計
村の大きな時計は、
ひねもす動いてゐた
その字板のペンキは
もう艶が消えてゐた
近寄つてみると、
小さなひびが澤山にあるのだつた
それで夕陽が當ってさへが、
おとなしい色をしてゐた
時を打つ前には、
ぜいぜいと鳴つた
字板が鳴るのか中の機械が鳴るのか
僕にも誰にも分らなかつた
ひねもす動いてゐた
その字板のペンキは
もう艶が消えてゐた
近寄つてみると、
小さなひびが澤山にあるのだつた
それで夕陽が當ってさへが、
おとなしい色をしてゐた
時を打つ前には、
ぜいぜいと鳴つた
字板が鳴るのか中の機械が鳴るのか
僕にも誰にも分らなかつた
中原中也 1907-1937「在りし日の歌」より
出典:中原中也全詩集 P.264 1972 角川書店
注)字板=じいた 文字盤
注)字板=じいた 文字盤
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