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Cogito


東明の空の如く丘々をわたりゆく夕べの風の如く
はたなびく小旗の如く涕かんかな

或はまた別れの言葉の, こだまし, 雲に入り, 野末にひびき
海の上の風にまじりてとことはに過ぎゆく如く……

2018-05-13

R.M. リルケ「聖なるものと私の呼ぶ」


「最初の詩集」より




聖なるものと私の呼ぶ



聖なるものと私の呼ぶ 一つの追憶が
わたしの心の 一番深い底に照る、
神々の像の 大理石の白さが
聖なる林の仄昏ほのぐらい中に輝くように。

その往時かみの 浄福の思い出、
逝きし あの五月の思い出、───
白い両手に捧げられている香煙、
そのそばを 静かなるわが日々にちにちの生活が通過する……




Rainer Maria Rilke 1896-1898
"Ein Erinnern, das ich heilig heisse" aus Die Frühen Gedichte
ライナー・マリア・リルケ 1896-1898
「聖なるものと私の呼ぶ」最初の詩集 より
片山敏彦 訳




出典:リルケ詩集 片山敏彦 訳 1962 みすず書房

注)かみ(ルビ) = かみ【上】⑤〔名〕古い時代, 上代, 昔, 以前 (全文)
注)浄福 =〘名〙清らかな幸福 (辞泉)

参照:小学館 全文全訳 古語辞典 2004 小学館 (全文)
学研 全訳古語辞典 改訂第二版 2014 学研 (全訳)
小学館 大辞泉 1995 小学館 (辞泉)

改訂:2021.01.27 注釈加筆, 誤字訂正
2021.05.31 記事タイトル振り仮名廃止
2021.07.17 左注及び作者名表示順入替
2024.05.14 参照図書記載漏れ追記, レイアウト微調整, 他



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