聖なるものと私の呼ぶ
聖なるものと私の呼ぶ 一つの追憶が
わたしの心の 一番深い底に照る、
神々の像の 大理石の白さが
聖なる林の仄昏い中に輝くように。
その往時の 浄福の思い出、
逝きし あの五月の思い出、───
白い両手に捧げられている香煙、
その側を 静かなるわが日々の生活が通過する……
わたしの心の 一番深い底に照る、
神々の像の 大理石の白さが
聖なる林の仄昏い中に輝くように。
その往時の 浄福の思い出、
逝きし あの五月の思い出、───
白い両手に捧げられている香煙、
その側を 静かなるわが日々の生活が通過する……
Rainer Maria Rilke 1896-1898
"Ein Erinnern, das ich heilig heisse" aus Die Frühen Gedichte
ライナー・マリア・リルケ 1896-1898
「聖なるものと私の呼ぶ」最初の詩集 より:片山敏彦 訳
"Ein Erinnern, das ich heilig heisse" aus Die Frühen Gedichte
ライナー・マリア・リルケ 1896-1898
「聖なるものと私の呼ぶ」最初の詩集 より:片山敏彦 訳
出典:リルケ詩集 片山敏彦 訳 1962 みすず書房
注)かみ(ルビ)=【古語】上 時の流れの上流=昔
注)浄福=清らかな幸福 特に信仰によって得られる幸福
注)浄福=清らかな幸福 特に信仰によって得られる幸福
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