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Cogito


東明の空の如く丘々をわたりゆく夕べの風の如く
はたなびく小旗の如く涕かんかな

或はまた別れの言葉の、こだまし、雲に入り、野末にひびき
海の上の風にまじりてとことはに過ぎゆく如く……

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- ホセ・カレーラス「光さす窓辺」 対訳付き原語歌詞追記

- ハインリッヒ・ハイネ「いと麗しき五月」 助詞 "も" につき加筆/仮名遣を原典に整合

2018-07-06

中原中也「羊の歌 II」


中原中也「山羊の歌」より




羊の歌

安原喜弘に


   II


思惑よ、汝 古く暗き気體よ、
わが裡より去れよかし!
われはや單純と靜けき呟きと、
とまれ、清楚のほかを希わず。

交際よ、汝陰鬱なる汚濁の許容よ、
更めてわれを目覚ますことなかれ!
われはや孤寂に耐えんとす、
わが腕は既に無用のものに似たり。

汝、疑ひとともに見開くまなこ
見開きたるまゝに暫しは動かぬ眼よ、
ああ、己の外をあまりに信ずる心よ、

それよ思惑、汝 古く暗き空気よ、
わが裡より去れよかし去れよかし!
われはや、貧しきわが夢のほかに興ぜず


中原中也 1934 「山羊の歌」



出典:中原中也全詩集 P.124 1972 角川書店
参照:小学館 全文全訳古語辞典


注)裡=うち 内 中
注)去れよかし=去れ〔去る:自ラ四:命令〕+よ〔間投助-強調〕+かし〔終助-念押〕→ 去れよな!
注)呟き=つぶやき
注)希わず=ねがわず
注)交際=社会生活を営む際に生じる他者との関係を円滑に行うための行為(ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典)
注)陰鬱=いんうつ
注)汚濁=おだく おじょく
注)更めて=あらためて
注)孤寂=こじゃく
注)外=ほか


関連記事 : 「羊の歌 I
羊の歌 III
羊の歌 IIII


改訂:2018.07.15 アイコン・リンクURL修正
2024.04.23 関連記事リンクURL修正



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