Cogito
はたなびく小旗の如く涕かんかな
或はまた別れの言葉の, こだまし, 雲に入り, 野末にひびき
海の上の風にまじりてとことはに過ぎゆく如く……
海の上の風にまじりてとことはに過ぎゆく如く……
改訂情報:
2017-02-27
2017-02-24
2017-02-23
Rev:白鳥英美子さん"恋はやさし野辺の花よ"
2017-02-22
2017-02-21
藤井香織・藤井裕子さん Fauré "Sicilienne"
Brava!!!
∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴
Gabriel Fauré「シシリエンヌ」
Fl. 藤井香織 Pf. 藤井裕子
Fl. 藤井香織 Pf. 藤井裕子
2017-02-20
2017-02-19
C.P. ボードレール「酔へ!」
酔へ!
常に酔つてゐなければならない。ほかのことはどうでもよい――ただそれだけが問題なのだ。君の肩をくじき、君の体を地に圧し曲げる恐ろしい「時」の重荷を感じたくないなら、君は絶え間なく酔つてゐなければならない。
しかし何で酔ふのだ? 酒でも、詩でも、道徳でも、何でも君のすきなもので。が、とにかく酔ひたまへ。
もしどうかいふことで王宮の階段の上や、堀端の青草の上や、君の室の陰惨な孤独の中で、既に君の酔ひが覚めかゝるか、覚めきるかして目が覚めるやうなことがあつたら、風にでも、波にでも、星にでも、鳥にでも、時計にでも、すべての飛び行くものにでも、すべての唸くものにでも、すべての廻転するものにでも、すべての歌ふものにでも、すべての話すものにでも、今は何時だときいてみたまへ。風も、波も、星も、鳥も、時計も君に答へるだらう。「今は酔ふべき時です! 『時』に虐げられる奴隷になりたくないなら、絶え間なくお酔ひなさい! 酒でも、詩でも、道徳でも、何でもおすきなもので。」
常に酔つてゐなければならない。ほかのことはどうでもよい――ただそれだけが問題なのだ。君の肩をくじき、君の体を地に圧し曲げる恐ろしい「時」の重荷を感じたくないなら、君は絶え間なく酔つてゐなければならない。
しかし何で酔ふのだ? 酒でも、詩でも、道徳でも、何でも君のすきなもので。が、とにかく酔ひたまへ。
もしどうかいふことで王宮の階段の上や、堀端の青草の上や、君の室の陰惨な孤独の中で、既に君の酔ひが覚めかゝるか、覚めきるかして目が覚めるやうなことがあつたら、風にでも、波にでも、星にでも、鳥にでも、時計にでも、すべての飛び行くものにでも、すべての唸くものにでも、すべての廻転するものにでも、すべての歌ふものにでも、すべての話すものにでも、今は何時だときいてみたまへ。風も、波も、星も、鳥も、時計も君に答へるだらう。「今は酔ふべき時です! 『時』に虐げられる奴隷になりたくないなら、絶え間なくお酔ひなさい! 酒でも、詩でも、道徳でも、何でもおすきなもので。」
Charles P. Baudelaire 1869 Spleen de Paris
シャルル. P. ボードレール「パリの憂鬱」:富永太郎訳
シャルル. P. ボードレール「パリの憂鬱」:富永太郎訳
原典:定本 富永太郎 詩集 1971 中央公論社
出典:ボードレール作品集 2013 Kindle
出典:ボードレール作品集 2013 Kindle
2017-02-17
「早春賦」白鳥英美子さん
この歌と「浜辺の歌」は、いわゆる唱歌と呼ばれるものの中で、大変好きな曲の双璧です。
この早春賦は、歌詞がまだ寒いと歌っていても、そのメロディーが不思議に暖かく、のびのびとした春を感じさせます。
それに加えて、韻を踏んだ文語体の詩が、切れ味鋭く、冬から春に変わる自然と人の気配を描いてくれます。
そして・・・
「聞けば急かるる胸の思いを、いかにせよとのこの頃か」
春の訪れに早く安堵したいのに、思わせぶりな自然の移り変わりに惑わされてしまう、そんな、人の心情を、みごとに詠っています。
このあたりが、詩歌、特に定型詩の、醍醐味であるように思います。
この歌、ゆったりとした波に揺られるような、メロディーの心地よさが魅力ですが、それを、敢えて、歌詞の語幹を際立たせて歌い、もう一つの魅力である見事な "詩" が、メロディーに流され埋もれてしまわないよう… そんな歌い方をしている方がいます。
白鳥英美子さんの、早春賦。
早春賦
春は名のみの 風の寒さや
谷の鶯 歌は思えど
時にあらずと 声も立てず
時にあらずと 声も立てず
氷解け去り葦は角ぐむ
さては時ぞと 思うあやにく
今日も昨日も 雪の空
今日も昨日も 雪の空
春と聞かねば 知らでありしを
聞けば急かるる 胸の思いを
いかにせよとの この頃か
いかにせよとの この頃か
谷の鶯 歌は思えど
時にあらずと 声も立てず
時にあらずと 声も立てず
氷解け去り葦は角ぐむ
さては時ぞと 思うあやにく
今日も昨日も 雪の空
今日も昨日も 雪の空
春と聞かねば 知らでありしを
聞けば急かるる 胸の思いを
いかにせよとの この頃か
いかにせよとの この頃か
吉丸 一昌 1912 「新作唱歌」
注)角ぐむ = 新芽が角のように出始める
注)あやにく = 折悪しく あいにく
注)あやにく = 折悪しく あいにく
「早春賦」
作詩:吉丸 一昌 作曲: 中田 章
歌:白鳥 英美子
作詩:吉丸 一昌 作曲: 中田 章
歌:白鳥 英美子
2017-02-14
2017-02-12
2017-02-09
2017-02-08
2017-02-06
R.M. リルケ「さらにふたたび」
さらにふたたび
さらにふたたび、よしや私達が愛の風景ばかりでなく、
いくつも傷ましい名前をもつた小さな墓地をも、
他の人達の死んでいつた恐ろしい沈默の深淵をも
知つてゐようと、さらにふたたび、私達は二人して
古い樹の下に出ていつて、さらにふたたび、身を横たへよう
花々のあひだに、空にむかつて。
いくつも傷ましい名前をもつた小さな墓地をも、
他の人達の死んでいつた恐ろしい沈默の深淵をも
知つてゐようと、さらにふたたび、私達は二人して
古い樹の下に出ていつて、さらにふたたび、身を横たへよう
花々のあひだに、空にむかつて。
Rainer Maria Rilke:堀辰雄訳
原典:胡桃 夏季号(創刊号)1946 赤坂書店
出典:リルケ作品集 2010 Kindle/青空文庫
原典:胡桃 夏季号(創刊号)1946 赤坂書店
出典:リルケ作品集 2010 Kindle/青空文庫
2017-02-03
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