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Cogito


東明の空の如く丘々をわたりゆく夕べの風の如く
はたなびく小旗の如く涕かんかな

或はまた別れの言葉の, こだまし, 雲に入り, 野末にひびき
海の上の風にまじりてとことはに過ぎゆく如く……

2025-02-04

ハンリッヒ・ハイネ「黒い上着に絹のくつした」


詩集「歌の本」より





黒い上着に絹のくつした
(「ハルツ山地の旅」の序詩)


黒い上着に絹のくつした、
礼儀にかなった白い袖口。
鄭重ていちょう な口振り、そして挨拶の接吻ーー
ああ、残念ながら心情だけが足りない!

胸の中のこころ、そして愛情、
こころの中の温かい愛情、それが無い!
彼らの歌がわたしを殺す
欺かれた愛の落胆で。

山の上へわたしは登ろう。
そこにはつつましい小屋がある。
そこでは胸が自由にひらき
自由な風が吹いている。

山の上へわたしは登ろう、
そこには黒いもみの樹がそびえ立ち
せせらぎが音を立て、鳥たちが
誇らしい雲らが飛んでいる。

さらば、なめらかな円柱らよ!
なめらかな紳士淑女らよ!
山の上へ私は登り、
笑って諸君を見下ろそう。




Heinrich Heine 1827 Prolog aus Buch der Lieder
ハインリッヒ・ハイネ「黒い上着に絹のくつした」歌の本より:片山敏彦 訳






出典:ハイネ詩集 片山敏彦 訳 1951 新潮文庫
参照:小学館大辞泉 1995 小学館 (辞泉)





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