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Cogito


東明の空の如く丘々をわたりゆく夕べの風の如く
はたなびく小旗の如く涕かんかな

或はまた別れの言葉の, こだまし, 雲に入り, 野末にひびき
海の上の風にまじりてとことはに過ぎゆく如く……

改訂情報:


- 二人乗り自転車の歌 重要: たくさん分かち合う→運命を共有する (韻に託けて文法無視で意訳した前訳を改訂)

- ホセ・カレーラス「光さす窓辺」 対訳付き原語歌詞追記

2018-09-01

クリスティナ・ロセッティ「花の教」


詩集より (原題)「野の花を思え」"Consider the Lilies of the Field"



花のをしへ


心をとめてうかがへば 花自はなおのづかをしへあり。
朝露の野薔薇のばらのいへる、
えんなりや、われらの姿、
とげふる色香いろかとも知れ。」
麥生むぎふのひまに罌粟けしのいふ、
「せめてはあかきはしも見よ、
そばめられたる身なれども、
げんあるつゆ藥水やくすゐ
盛りさゝげたるさかづきぞ。」
この時、百合ゆり追風おひかぜに、
「見よ、人、われは言葉なく
ほふくなり。」
みづからなせる葉陰はかげより、
こゑもかすかに菫草すみれぐさ
「人はあだなるをきけど、
われらの示す教曉をしへさとらじ。」



Christina Rossetti 1830-1894 "Consider the Lilies of the Field" from a Book of Poems
クリスティナ・ロセッティ 1830-1894「野の百合を思え」詩集より:上田 敏 訳



上田 敏 1905 「海潮音」 本郷書院
出典: 海潮音‐日本近代文学大系 52 明治大正譯詩集 1971 角川書店
参照:小学館 全文全訳古語辞典 2004 小学館

注)艶なりや=なまめかしくあでやかで美しいこと 優美
注)生ふる=育つ
注)…とも=〈連語:格助詞ト+係助詞モ〉…でもあると
注)麥生のひま=麦畑に伸びる麦の間 (出典注釈)
注)せめては紅きはしも見よ=せめて先端に咲く赤い花も見てほしい→麦畑の雑草として花も咲かぬうちに抜かずに…(土のちり)
注)そばめられたる身=そばめ〈そばむ・四段已然・視線を逸らす〉+られたる身→雑草として抜かれてしまうこの私 (土のちり)
注)験ある=ききめ 効用 などがある→阿片の麻酔作用を示唆 (出典注釈)
注)法を説く=[原詩]純潔について教えを垂れる (出典注釈)
注)あだなる香=あだなる〈徒・形動ナリ連体>+香→無用で中身のない香り
注)…きけど=…利けど→嗅いでも
注)曉らじ=暁らじ→悟らじ (漢字ペディア)


クリスティーナ・ジョージナ・ロセッティ(Christina Georgina Rossetti, 1830 - 1894)は、イギリスの詩人。
敬虔主義的な作風による作品を残した。画家・詩人ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティの妹で、兄をはじめとするラファエル前派の画家たちの作品のモデルにもなった。
人道的な観点から、奴隷制や売春による性的搾取、動物実験に反対した。
 -ja.wikipedia.org



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