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Cogito


東明の空の如く丘々をわたりゆく夕べの風の如く
はたなびく小旗の如く涕かんかな

或はまた別れの言葉の、こだまし、雲に入り、野末にひびき
海の上の風にまじりてとことはに過ぎゆく如く……

2018-08-14

中原中也(休みなされ)


未刊詩篇より




  (休みなされ)


休みなされ、
臺所や便所の掃除こそ大事だなぞといふ教訓を、
お忘れなされ。

休みなされ、
ビンツケでもててゐるやうな髮ならば、
グサグサにしておしまひなされ

魂の嘆きを窒息させて、
せかせかと働きなさるからこそ、
やんがて姑根性をも發揮なさるのだ。

休みなされ、
放膽になりなされ、
大きい聲して歌ひなされ。


中原中也 1907-1937 未刊詩篇



出典:中原中也全詩集 P.486 1972 角川書店


注)ビンツケ=びんつけあぶら(鬢付け油)日本髪で鬢を張らせたり髪を固めて形づくるのに用いる固く練った油 (大辞林 第三版)



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