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Cogito


東明の空の如く丘々をわたりゆく夕べの風の如く
はたなびく小旗の如く涕かんかな

或はまた別れの言葉の、こだまし、雲に入り、野末にひびき
海の上の風にまじりてとことはに過ぎゆく如く……

2018-08-03

中原中也(テンピにかけて)


未刊詩篇より:
ここには、詩としての技法も、練られた表現もなく、タイトルもなし。ストレートな言葉が炸裂します。
「テンピにかけて 燒いたろか あんなヘナチヨコ詩人の詩」

 
 
 
  (テンピにかけて)


テンピにかけて
燒いたろか
あんなヘナチヨコ詩人の詩

百科辭典を引き廻し
鳥の名や花の名や
みたこともないそれなんか
ひつぱり出して書いたつて
――だがそれ程想像力があればね――
やい!
いつたい何が表現出來ました?

自棄やけのない詩は
神の詩か
凡人の詩か
そのどつちかと僕が決めたげます


中原中也 1907-1937 未刊詩篇



出典:中原中也全詩集 P.328 1972 角川書店

注)テンピ=天火 オーヴン オーブン
注)自棄のない詩=自己を棄てていず 己の主張ばかりしている詩



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