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Cogito


東明の空の如く丘々をわたりゆく夕べの風の如く
はたなびく小旗の如く涕かんかな

或はまた別れの言葉の, こだまし, 雲に入り, 野末にひびき
海の上の風にまじりてとことはに過ぎゆく如く……

改訂情報:


- 二人乗り自転車の歌 重要: たくさん分かち合う→運命を共有する (韻に託けて文法無視で意訳した前訳を改訂)

- ホセ・カレーラス「光さす窓辺」 対訳付き原語歌詞追記

2018-08-09

ポール・フォール「夏の夜」


Paul Fort: フランス詩人。だが、芸術座を設立して象徴派戯曲を上演したり、雑誌『詩と散文』を創刊して新進詩人の紹介につとめるなど、近代仏文学の興隆にあずかって力あった。(出典 解題より)



夏の夜

 蟋蟀こほろぎが鳴く夏の青空あをぞらのもと、神、仏蘭西フランスうへに星のさかづきをそそぐ。風は唇に夏のあじはひを傳ふ。銀砂子ぎんすなごひかりし涼しき空のため、われは盃をあげむとす。

 よるの風は盃のひやふちに似たり。半眼はんぐわん になりて、口なめずりて飲み干さむかな、石榴ざくろの汁を吸ふやうに滿天まんてんの星の涼しさを。

 晝間ひるまの暑き日の熱のほてり、いまだにきえやらぬまき草間くさまに横はり、あゝこのゆふべのみほさむ、空が漂ふ靑色あをいろのこの 大盃 おほさかづきを。



Paul Fort 1902 "La Grande Ivoresse" dans "Paris sentimental"
ポオル・フォオル 1902 「大いなる陶酔 (原題)」- 詩集「感傷のパリ」より:上田 敏 訳



出典:上田敏全訳詩集 1962 岩波書店


注)銀砂子=銀箔を粉にしたもの 絵画・蒔絵まきえなどに用いる (大辞林 第三版)
注)横はり=よこたはり → 横たわり



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