ももづたふ 磐余の池に 鳴く鴨を
今日のみ見てや 雲隠りなむ
今日のみ見てや 雲隠りなむ
左注: 右は、藤原宮 の 朱鳥 元年の冬十月なり。
大津皇子:萬葉集 416
注)大津皇子=父天武天皇崩御の半月後、持統天皇の朱鳥元年(689)十月二日、皇太子草壁皇子に対する謀反の嫌疑によって逮捕され、翌日三日、訳語田(おさた)の宮で死を賜わった。時に二十四歳(日本書紀)。(大系)
注)題詞 流涕して=涙を流して
注)ももづたふ=百伝ふ 地名磐余(いわれ)の イ の枕詞 百にだんだん伝い近づくの意 (全集)
注)磐余の池=奈良県桜井市阿部付近にあった池 (www.city.sakurai.lg.jp)
注)雲隠り=死の婉曲表現 自らの死には用いない:したがって、この歌は皇子自身の作ではなく、皇子周辺人が作った歌であろうと推測される(全集/大系)
注)…や……む=現在自分がしていることについて、こうも〜することかなどと不甲斐なく思いながらどうすることもできない気持ちを表す語法(全集)
注)この、大津皇子の辞世の歌は、ディミトリ・ショスタコーヴィッチ作曲「日本の詩人の詩による6つのロマンス」作品 21 の 第 2 曲「自殺の前」に歌われています
出典:新日本古典文学大系 萬葉集1 2000 岩波書店
参照:新編日本古典文学全集 萬葉集1 1999 小学館
:岩波 古語辞典 補訂版 1990 岩波書店
改訂:2018.06.06 一部注釈表現訂正
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