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Cogito


東明の空の如く丘々をわたりゆく夕べの風の如く
はたなびく小旗の如く涕かんかな

或はまた別れの言葉の, こだまし, 雲に入り, 野末にひびき
海の上の風にまじりてとことはに過ぎゆく如く……

改訂情報:


- The Alexander Brothers : Nobody's Child リードに加筆, 一部記述変更

- ホセ・カレーラス「光さす窓辺」 対訳付き原語歌詞掲載

2018-06-06

雲隠りなむ

題詞: 大津皇子おほつのみこの、ころされし時に、磐余いはれいけつつみ流涕りうてい して御作つくりたまひし歌一首




ももづたふ 磐余の池に 鳴くかも
  今日けふのみ見てや 雲隠くもがくりなむ



   左注: 右は、藤原宮ふじはらのみや朱鳥あかみとり 元年の冬十月なり。


大津皇子おほつのみこ:萬葉集 416



注)大津皇子=父天武天皇崩御の半月後、持統天皇の朱鳥元年(689)十月二日、皇太子草壁皇子に対する謀反の嫌疑によって逮捕され、翌日三日、訳語田(おさた)の宮で死を賜わった。時に二十四歳(日本書紀)。(大系)

注)題詞 流涕して=涙を流して
注)ももづたふ=百伝ふ 地名磐余(いわれ)の イ の枕詞 百にだんだん伝い近づくの意 (全集)
注)磐余の池=奈良県桜井市阿部付近にあった池 (www.city.sakurai.lg.jp)
注)雲隠り=死の婉曲表現 自らの死には用いない:したがって、この歌は皇子自身の作ではなく、皇子周辺人が作った歌であろうと推測される(全集/大系)
注)…や……む=現在自分がしていることについて、こうも〜することかなどと不甲斐なく思いながらどうすることもできない気持ちを表す語法(全集)

注)この、大津皇子の辞世の歌は、ディミトリ・ショスタコーヴィッチ作曲「日本の詩人の詩による6つのロマンス」作品 21 の 第 2 曲「自殺の前」に歌われています


出典:新日本古典文学大系 萬葉集1 2000 岩波書店
参照:新編日本古典文学全集 萬葉集1 1999 小学館
  :岩波 古語辞典 補訂版 1990 岩波書店


改訂:2018.06.06 一部注釈表現訂正


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