小 歌
木立生ひ繁る阜は、岸まで下りて、静かな水の中へつづく。薄暗い水の半は 緑葉 を、まつ靑なまたの半は中空の雲をゆすぶる。
ここを通るは白雲の真珠船、ついそのさきを滑りゆく水枝の筏……それ、眼の下に堰の波、渦巻く靄のその中に、舟も筏もあらばこそ。
われらが夢の姿かな。船は砕け、筏は崩れ、帆はあれど、めあてなく、波のまにまに、影の夢、青い夢、堰に裂け、波に散り、あともない。
木立生い繁る阜は岸までつづく。向の岸の野原には今一面の花ざかり、中空の雲一ぱいに白い光が掠めゆく……ああ、また別の影が来て、うつるかと見て消えるのか。
ここを通るは白雲の真珠船、ついそのさきを滑りゆく水枝の筏……それ、眼の下に堰の波、渦巻く靄のその中に、舟も筏もあらばこそ。
われらが夢の姿かな。船は砕け、筏は崩れ、帆はあれど、めあてなく、波のまにまに、影の夢、青い夢、堰に裂け、波に散り、あともない。
木立生い繁る阜は岸までつづく。向の岸の野原には今一面の花ざかり、中空の雲一ぱいに白い光が掠めゆく……ああ、また別の影が来て、うつるかと見て消えるのか。
ポオル・フォオル
Paul Fort 1898 "Image de mes Rêves" dans "Montagne, Forêt, Plaine, Mer"
ポール・フォール 1898『小 歌』-「山、森林、平野、海」より:上田 敏 訳
Paul Fort 1898 "Image de mes Rêves" dans "Montagne, Forêt, Plaine, Mer"
ポール・フォール 1898『小 歌』-「山、森林、平野、海」より:上田 敏 訳
出典:上田敏全訳詩集 1962 岩波書店
注)阜=おか 小高いところ 丘
注)水の半ば=水面の半分
注)またの半ば=もう一方の半分
注)中空=なかぞら 空の中ほど 中天 高く(真上に近く)もなく低く(地平線に近く)もなく
注)水枝 = 瑞枝 みずみずしい若枝
注)堰 = せき 河川の水位調節用の構造物 人工の滝の形態をなす
注)掠めゆく=かすめゆく すれすれに通ってゆく
注)水の半ば=水面の半分
注)またの半ば=もう一方の半分
注)中空=なかぞら 空の中ほど 中天 高く(真上に近く)もなく低く(地平線に近く)もなく
注)水枝 = 瑞枝 みずみずしい若枝
注)堰 = せき 河川の水位調節用の構造物 人工の滝の形態をなす
注)掠めゆく=かすめゆく すれすれに通ってゆく
0 件のコメント:
コメントを投稿
********** 投稿要領 **********
1. [公開] ボタンは記入内容を管理者宛に送信し即公開はしません
(サイト劣悪仕様により当該文字列変更不能)
2. 非公開希望の場合もその旨記述しこのボタンで送信して下さい
3. 送信された記述内容は管理者の承認を経て原則公開されます
4. 反公序良俗, 政治的偏向過剰, 宣伝, 広告, スパム等は不可
**********************************