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Cogito


東明の空の如く丘々をわたりゆく夕べの風の如く
はたなびく小旗の如く涕かんかな

或はまた別れの言葉の、こだまし、雲に入り、野末にひびき
海の上の風にまじりてとことはに過ぎゆく如く……

2018-03-14

恋の奴やつこの

題詞:穂積親王ほづみのみこの御歌一首




家にありし ひつかぎ刺し をさめてし
  恋のやつこの つかみかかりて


左注:右の歌一首は、穂積親王ほづみのみこの、宴飲えんいんの日に、酒酣さけたけなはなる時に、このみてこの歌をうたひ、以てつねよろこびしししものなり。


穂積親王:萬葉集 3816


注)櫃=ひつ 蓋のある大きな木箱
注)鏁=くさり とざす かぎ 鎖の俗字(全集)
注)蔵めてし=おさめ 隠し しまい込む→閉じ込めた 封印した
注)  …て=〔助詞〕動作・状態がそこで一旦区切れることを表す
注)  …し=〔助詞〕基本は強意 かつ不確定・推量などの内在を表す(辞典/土のちり)
注)恋の奴の="恋" を奴にたとえた擬人法→恋という奴めが
注)   奴=やっこ 人に召し仕えられる身分の低い者 さげすまれる者
注)  …の= 之 軽侮・賤視の感情を表す メ に相当〔助詞〕ガ によって訓む→奴めが
注)つかみかかりて=接続助詞 テ に続く述語省略→掴みかかりおって!…
注)宴飲=えんいん 酒盛り
注)酒酣=さけたけなわ 酣=[音]カン[訓]たけなわ

出典:新日本古典文学大系 萬葉集4 2000 岩波書店
参照:新編日本古典文学全集 萬葉集4 1999 小学館
  :岩波 古語辞典 補訂版 1990 岩波書店


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