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Cogito


東明の空の如く丘々をわたりゆく夕べの風の如く
はたなびく小旗の如く涕かんかな

或はまた別れの言葉の, こだまし, 雲に入り, 野末にひびき
海の上の風にまじりてとことはに過ぎゆく如く……

2016-10-31

咲きてありやと


かくのみに ありけるものを 萩の花
咲きてありやと 問ひし君はも

余明軍よのみやうぐん:万葉集

注)大伴旅人が亡くなった際に詠んだ挽歌
注)はも = つよい詠嘆

2016-10-28

G・ヴェルディ「リゴレット」

これもティーンエージャーの頃、つまり大昔、東京文化会館がオープンした年、バリトンの栗林義信さんが留学中のイタリアから、「リゴレット」に出演するために帰国する、ということが文芸欄の大きなニュースになった。
運よくその入場券を手にできた私は、新装なったホールへ。
当時は、オーケストラがコンサートをやるにも、日比谷公会堂や共立講堂などしかなかったので、この音楽専用の新しいホールの形と響きは衝撃的だった。

そのリゴレット… ジルダを歌ったソプラノが誰だったのか思い出せない。
当時の第一人者 (?) と思われた三宅春江さんではなく、もう少し若手の方だったと記憶している。
良く響くホールの私の席に、予期に反して、コロラトゥーラとはこういう声のことかと思わせる、美しい歌声が届いた。

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実は、私はその少し前ごろから、その当時の日本の〝クラシックの声楽" が嫌いになっていた。
ラジオやテレビで聞く多くの歌手が、喉に力が入って、無理に声を響かせようとしているかのようで、子音が消え、アーオーエーと母音ばかりが響く。どんな歌詞なのか判らないだけでなく、歌っているのが、日本語なのかイタリア語なのかさえ、にわかには判りにくい。
言葉と縁を切った、こもった楽器のようになってしまった ”歌声” には興味が持てず、FM 放送のオペラアワーなどで聞く、多くの外国人歌手たちの歌とは別物のように思えた。
事実、それより少し前、グノーの「ファウスト」の日本語歌詞による公演を見に行ったことがあった。
日本語だからストーリー展開が判って楽に音楽が楽しめる、そう思って気軽に、粗筋にもろくに目を通さずいったのだが… 始まると、ところどころで日本語の単語らしいものが聞こえるだけで、歌詞から、何かまとまった意味を聞き取ることはできなかった。

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リゴレットでは、ジルダの歌う「慕わしい名前」と、リゴレットの歌う「悪魔め、鬼め」、この二つのアリアと、四人の登場人物がそれぞれ異なった歌詞を歌って、一つのコーラスになる「四重唱」が、しっかりと心に焼き付いて、今日に至るまで、オペラというと必ずこれを思い出すようになった。

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ここでは、私の好きなドイツのソプラノ、クリスティーネ・シェファーが演ずるジルダのアリア「慕わしい名前」。


Giuseppe Verdi "Caro nome"
From Opera "Rigoletto"
Christine Schäfer (sop)
Edward Downes (cond), Royal Opera House (orch)

2016-10-22

雨隠り


題詞:大伴家持おほとものやかもち の秋の歌四首
   (その三)

2016-10-19

憂しとやさしと思へども


世間よのなかを しとやさしと 思へども
飛び立ちかねつ 鳥にしあらねば

山上憶良やまのうへのおくら:万葉集

注)憂し = わずらわしい、つらい
注)やさし = 身も細る、たえがたい

2016-10-17

Joan Baez「Donna Donna」


60 年代の初めころ、ティーンエージャーだった私は、自分で組み立てたポケットラジオのイヤフォーンで、ほとんど毎晩深夜放送を聴いていた。
NHKの第二放送だったと思う、寺山修司氏の語りで音楽を聴く番組があって、そこで初めてこの曲を聞いた。

2016-10-15

中原中也 「曇つた秋 2」


中原中也「未刊詩篇」より

2016-10-13

うらぶれ立てり


く川の 過ぎにし人の 手折たをらめば
うらぶれ立てり 三輪の檜原ひばら

柿本人麿かきのもとひとまろ:万葉集

注)行く川の = 枕詞;過ぎさった人・物にかかる
注)過ぎにし人 = 亡くなった人
注)‥らめば = ‥らなかったので(已然形)
注)三輪の檜原 = 神聖な三輪の地の檜の原(檜の枝で髪を飾ると霊力を取り込めるとされた)

2016-10-11

中原中也「修羅街輓歌 IIII」


中原中也「山羊の歌」より




修羅街輓歌

関口隆克に


      IIII


いといと淡き今日の日は
雨 蕭々しょうしょう と降りそそ
水より淡き空気にて
林の香りすなりけり。

げに秋深き今日の日は
石の響きの如くなり。
思い出だにもあらぬがに
まして夢などあるべきか。

まことや我は石のごと
影の如くは生きてきぬ……
呼ばんとするに言葉なく
空の如くははてもなし。

それよかなしきわが心
いわれもなくてこぶしする
誰をか責むることかある?
せつなきことのかぎりなり。


中原中也 1934 「山羊の歌」



出典:中原中也全詩集 P.108 1972 角川書店


注)輓歌 = 挽歌
注)蕭々 = もの寂しく感じられるさま


改定:2018.06.19
題名使用数字を変更し原典と整合 IV → IIII
レイアウト更新 関連記事リンク追記


関連記事:
 「修羅街輓歌 序歌」


2016-10-08

中原中也 「秋の日」


「在りし日の歌」より

改訂:2019.10.08 旧字旧かなづかひ     

2016-10-07

お知らせ


当ブログへの接続に関するお知らせです。

 * ブログのアドレス(URL)を HTTP: から HTTPS: に変更しました。

その結果、大変なことが起きてしまいました。
いろいろな記事に、たくさん頂いていた、貴重な「いいね!」のカウント数が全部リセットされ、”0” になってしまいました。
これは私自身の励みであっただけでなく、その記事に書かせて頂いた方々への大切な、賞賛、感謝、はなむけ、の結実であったのですが、その数字が消えてしまいました。m(__)m。

今まで、それぞれの、いいね!をくださった方々には深くお詫びいたします。
ご容赦ください。
これに懲りず、私の糧「いいね!」を、更にクリック頂けますようお願いします。


 * URL の変更について

URL が変わっても、アクセス方法は何も変わりません。旧URLにアクセスしても自動的に新しい URL に接続されるので、変更を意識する必要は全くありません。
従って、本来であれば、このようなお知らせをする必要もないのですが、当サイトに不具合が起きたためお知らせしている次第です。


* 接続時に、「return-2-dust.blogspot.jp では、デバイスの現在地情報が必要となります」と表示されることがある件

これは、スマートフォンで接続した場合に、使用しているブラウザーの設定状況により表示されたり、されなかったりします。
当ブログが Google に属する Blogger というサイトにあるため、Google の基本仕様と思われる設定により、他の Google アプリ同様、現在位置情報を要求するようです。
決して、ブログ・オーナーである私がその情報を要求しているわけではありません。
もし、現在地情報要求が「許可」された場合でも、Google がそれを利用をすることはあっても、私はその位置情報を知ることもできません。
つまり、Google は、私のブログの URL 名をかたって現在地情報を要求し、自分の好き勝手に利用しようしていると言えます。
当ブログの設定とHTMLをどういじっても、これを回避することはできません。
まことに腹立たしいかぎりで、これだけでもほかのブログに引っ越したくなりますが・・・残念ながら、未だ、これならというサイトが見つかっていません。


 * その他

当ブログをご覧頂く上で、何らかの不具合や、ご要望などがございましたら、コメント欄より、どの記事でも結構です、ご連絡頂けますようお願い致します。
スマートフォンの場合、それぞれの端末の画面サイズやOS、ブラウザーとその表示設定などによって、閲覧環境は大きく異なります。
私の場合、iPhone の動作環境での当ブログ表示内容は全くチェックできていないので、ご覧頂く皆様からフィードバックを頂けないと、例え不具合があっても対応できません。
どうか、お気軽にコメントを頂けますようお願いします。

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 以下蛇足:
HTTPS は、Goole のブログサーバー Blogger 上にある当ブログと、インターネットを通じてそれに接続するすべての端末(パソコン、スマートフォン)との間で、通信内容を暗号化して通信を行う接続方式です。
金融機関のサイトはもちろん、Google, Facebook, Yahoo.com(USA), Amazon などはすべての接続を HTTPS: で行っています。
それに比べ、楽天やYahoo!ジャパン等は、ログイン画面や買い物かご画面になって初めて HTTPS: に切り替わります。

当ブログでは、暗号化が必要になる通信は特にないとは思いますが、インターネット回線上で情報を盗んで攻撃してくる、なりすましとか、悪質な嫌がらせやいたずら、などに対しては HTTPS 接続によって安心感を得られると思います。

2016-10-04

痛き恋


題詞:太宰帥大伴卿だざいそちおほともきやうみやこのぼりし後に、沙弥満誓さみまんせい、卿におくる歌二首 その二

2016-10-03

2016-10-02

友が残してくれた写真集


逝ってしまった親友が、およそ20年前に贈ってくれた、宝物の写真集です。

立原道造「或る風に寄せて」


詩集「暁と夕の詩」より

2016-10-01

秋風寒み


題詞:つきたち 移りて後に、秋風を悲嘆して 家持やかもちが作る歌一首