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Cogito


東明の空の如く丘々をわたりゆく夕べの風の如く
はたなびく小旗の如く涕かんかな

或はまた別れの言葉の, こだまし, 雲に入り, 野末にひびき
海の上の風にまじりてとことはに過ぎゆく如く……

改訂情報:


- The Alexander Brothers : Nobody's Child リードに加筆, 一部記述変更

- ホセ・カレーラス「光さす窓辺」 対訳付き原語歌詞掲載

2018-11-26

alibi-11 : "パイプ" 失われた香りを求めて


アリバイ その11。
半月ほど前、ウォーキング中に突然パイプが吸いたくなりました。正確にいえば、パイプたばこをくゆらせたくなりました。そこで、年甲斐もなく、また強度の嫌煙感は変わらないにもかかわらず、とうとう半世紀にも及ぶ禁を破り……




"alibi - 11 : "パイプ" 失われた香りを求めて""

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そして、先日。"失われた香り" を求めて、パイプたばこを売っている店を調べ、バスに乗って、買い出しに行ってきました。
"アンフォラ が五十年前そのままのパッケージで、ただし、喫煙は有害との日本語表示を付けて、売られていました。なつかしい "桃山" も "Half&Half" もありました。
写真は、コーンパイプや足りないツールも新たに加えて、準備完了。

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二十歳はたち代の半ばごろのある日、勤め先のオフィスで、先輩のカメラマンA氏が吸い始めたパイプたばこ、そのなんとも甘いまろやかな香りが部屋中に広がりました。
当時私は、家で他の種類のパイプたばこ、桃山とか Half&Half、などを吸っていたのですが、それらの香りとは全く別物、次元が違うとでも言いたくなるほどでした。
聞けば、その葉は "アンフォラ (Amphora)" とのこと。
早速まねて、その後しばらくそれを楽しんだ後、やがてパイプを卒業しました。

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パイプたばこは、一回の喫煙を、一時間ほどかけてゆっくりと楽しみます。また、煙を喉より奥まで吸うことはしません。すなわち、ほぼ肺がんフリーの喫煙です。
舌がん、こう頭がんのリスクは避けられないので、喫煙量の制限は必要でしょう。とりあえず、一日二回。

それで、細々した用事を片付け、小窓を開けてキッチンの換気扇を回し、さてゆっくり一服… 私の宝石箱で宝の山、ブログ「土風空」、を開き、あれかこれか、と楽しみながら。

"アンフォラ" のシールを開ける…… ? ん……香りは? …… ほとんど、ない。
製品が変わった?…まさか。香料が規制された?…それも考え難い。
とにかく、吸ってみる。やはり、香りは…… ない。

しばらく首を傾げた後、はたと思い当たることがありました。
二年ほど前、紅茶の "アールグレイ" を、これも昔の香りが懐かしく、何年振りかで飲んでみたことがあります。
ところがそのとき、アールグレイの香りを全く楽しむことができずに、とうとう一缶飲み終えました。
嫌いな匂いなどを感じないことはなく、むしろ過敏なのかと思うことさえあるので、嗅覚が衰えた、とは全く思っていませんでした。

今や戻らぬ、アールグレイの香り、アンフォラの香り……

答えは明らか。嗅覚の衰え。
嗅覚が過敏かと思うことがあるのは、おそらく、嗅覚神経の衰えたが故の乱れ、あるいは現実にはない匂いを大脳が作り出す錯覚では。

あぁ、なんとしたことか、手指の不自由に加えて、思秋期のメランコリーを増やしてしまったようです。


改訂:2018.11.26 前日付記事の写真と日付を更新し再掲
:2018.11.26 漢字ルビ送り仮名訂正 くゆらせ→くゆらせ

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