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Cogito


東明の空の如く丘々をわたりゆく夕べの風の如く
はたなびく小旗の如く涕かんかな

或はまた別れの言葉の, こだまし, 雲に入り, 野末にひびき
海の上の風にまじりてとことはに過ぎゆく如く……

2017-08-17

中原中也「木蔭」


中原中也「山羊の歌」より



木陰


神社の鳥居が光をうけて
楡の葉が小さく搖すれる
夏の晝の靑々した木蔭は
私の後悔を宥めてくれる

暗い後悔 いつでも附纏ふ後悔
馬鹿々々しい破笑にみちた私の過去は
やがて涙つぽい晦暝となり
やがて根強い疲勞となつた

かくて今では朝から夜まで
忍從することのほかに生活を持たない
怨みもなく喪心したやうに
空を見上げる私のまなこ

神社の鳥居が光をうけて
楡の葉が小さく搖すれる
夏の晝の靑々した木蔭は
私の後悔を宥めてくれる


中原中也 1934 山羊の歌 - 少年時



出典:中原中也全詩集 P.70 1972 角川書店

注)楡 = にれ
注)宥めて = なだめて
注)附纏ふ = つきまとう
注)破笑 = はしょう
注)晦暝 = かいめい 暗くなること 暗やみ


訂正:8/17 神 → 神 悔 → 悔
  (保存/投稿の際ブラウザーが勝手に新字体に戻してしまう文字を文字コードに変更)

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