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Cogito


東明の空の如く丘々をわたりゆく夕べの風の如く
はたなびく小旗の如く涕かんかな

或はまた別れの言葉の、こだまし、雲に入り、野末にひびき
海の上の風にまじりてとことはに過ぎゆく如く……

2019-03-03

改訂: 新改訳聖書(いのちのことば社)誤記?欺瞞?


2021.12.02 コメントが寄せられました. 頂いたコメントとそれへの返信が記載されています
いのちのことば社発行「聖書 新改訳 第3版」(新日本聖書刊行会) に極めて重大な誤記あるいは作為を見つけました。 イエスが "キリストはダビデの子ではない" ことを諭している節の前に、こともあろうに "キリストはダビデの子" と注釈が挿入されています!


「このように、ダビデ自身がキリストを主と呼んでいるなら、キリストはどうしてダビデの子であろうか?」  -マタイ22:45 口語訳新約聖書(日本聖書協会)

この引用のことばは、当然、 "そんなことはないであろう" の意。小学生でも間違えることはない、と思える内容です。
そのような内容を述べている箇所の直前に、そもそもあってはならない見出しのような行([注]と呼ばれている)が御言葉の行間に付け加えてあり、しかもそれが、なんと、「キリストはダビデの子

"注釈" 行下方の引照に書かれているとおり、マルコとルカにも同じ内容の箇所があり、いずれも、これと同じ [注] が付けられています。

 
 

- 新約聖書 新改訳 第3版 (マタイ22:41-46) -


注)パリサイ人=キリスト時代のユダヤ教の一派: 宗教や道徳で、律法の形式に従うだけで、内容をかえりみない人、偽善者、形式主義者 (大辞泉)。
注)御霊=聖霊
注)主は私の主に言われた=創造主にして父なる神は、その御子にしてキリストすなわち私の主に言われた

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この、イエスの問い「あなたがたはキリストをどう思うか。だれの子なのか」に対して、パリサイ人が答えるべきであった内容を記します:

ーキリストは、人となられた主(神)ご自身である

ーキリストは、ダビデ家の出であるヨセフのいいなづけマリアが聖霊によってみごもり、生まれた。
このことは、キリストがダビデの家系に生まれたことを示し、それによって預言は成就した。
このことはまた、ダビデの血縁の子すなわち "ダビデの子" ではなく、神の子であることを示す。


上記の根拠として、ルカによる福音書(新約聖書 口語訳 日本聖書協会刊)を引きます:

この処女はダビデ家の出であるヨセフという人のいいなづけになっていて、名をマリヤといった。(1:27)
御使がマリヤのところにきて言った、「恵まれた女よ、おめでとう、主があなたと共におられます」。(1:28)
この言葉にマリヤはひどく胸騒ぎがして、このあいさつはなんの事であろうかと、思いめぐらしていた。(1:29)
すると御使が言った、「恐れるな、マリヤよ、あなたは神から恵みをいただいているのです。(1:30) 見よ、あなたはみごもって男の子を産むでしょう。その子をイエスと名づけなさい。(1:31) 彼は大いなる者となり、いと高き者の子と、となえられるでしょう。そして、主なる神は彼に父ダビデの王座をお与えになり、(1:32) 彼はとこしえにヤコブの家を支配し、その支配は限りなく続くでしょう」。(1:33)
そこでマリヤは御使に言った、「どうして、そんな事があり得ましょうか。わたしにはまだ夫がありませんのに」。(1:34)
御使が答えて言った、「聖霊があなたに臨み、いと高き者の力があなたをおおうでしょう。それゆえに、生れ出る子は聖なるものであり、神の子と、となえられるでしょう。(1:35)

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新改訳第3版の注記「キリストはダビデの子」は、まさに白を黒としていることが判ります。ここまで聖書の言葉をあざむいたのでは、こんなものが蔓延したら、聖書の崩壊、ひいては聖書に書かれた言葉からのみ啓示を受けるキリスト教(プロテスタント)を崩壊させるもの以外の何物でもないでしょう。
この第3版の発行は2003年。この世紀の作為が十数年まかり通り、2017年の第5刷まで増刷されています。
さらに、これに先立つ1990年刊の第2版にも同じ [注] が書かれていることが判りました。

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この聖書新改訳第3版には、もうひとつ重大な誤訳が、ある個性的なプロテスタント系教会の牧師によって指摘されています。
「すなわち、わたしたちは、その死にあずかるバプテスマによって、彼と共に葬られたのである。それは、キリストが父の栄光によって、死人の中からよみがえらされたように、わたしたちもまた、新しいいのちに生きるためである。」 -ローマ人への手紙6:4 口語訳新約聖書(日本聖書協会)

上記引用の「死人の中からよみがえらされた」を、新改訳第3版は「死者の中からよみがえられた」としています。
新約聖書のギリシャ語原典で、ここは受動態で書かれているそうです。したがって、文語訳、口語訳、新共同訳、および、The English Revised Standard Version (英語改訂標準訳)、いずれもここを「よみがえらされた」と、当然、受け身に訳しています。
新改訳第3版のみ、「よみがえられた」 と、"よみがえる" の能動態に変え、しかも "よみがえった" とはせず、他の日本語訳と大変よく似てまぎらわしい字面の尊敬表現 "られた" の文字を加えて、似ているが異なった意味の述語に策を弄してすり替えています。

プロの翻訳者が訳し、編集者がいて、校正者がいて、その上で、このような訳文が誤って出版されるなどということは、到底考えまれません。もしそんな、素人のような集団であったなら聖書の出版などしてはいけないはずでしょう。
ということは、これは確信犯であるとしか考えられません。しかし、どういう意図で?

私がロマ書を口語訳で読んだのは遠い昔ですが、その頃、まだ聖書の理解が浅いうちは、受け身でも能動態でも、その違いをにわかには理解できなかったであろうと思います。
しかし、少し理解が進むと、それは決定的に違います。

"キリストがよみがえらされた(よみがえらせてもらった)ように、私たちも新しい命に生きる(生きさせていただく)ためである"。
ようするに、"キリストが父から受けた恵みを私たちも受けさせていただく" と、前の句が受け身であるからこそ繋がる文章です。

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この新改訳の訳文は、イエスの言葉のほとんどが、です・ます 調になっていて極めて不自然で読みにくい文章になっています。

例:「まことに、おまえたちに告げます。これらの報いはみな、この時代の上に来ます。」(マタイ23:36)

オマエタチニ ツゲマス??? こんな日本語…… どんなヒトが訳したのでしょうか。
オマエの日本語おかしいデス。

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こんな聖書捨ててしまいたいが、手元にあるこの書はある宣教師の方からプレゼントされたもので、その理由により大事に書棚に置いています。
ですが、読んではいけない、あってはいけない聖書、と思います。



関連記事:「嘘は罪 - It's a Sin to Tell a Lie」
     「実証:ダビデの大罪を隠蔽するキリスト教会」
     「土のちり( Uriah ):ダビデとウリア」



改訂:2019.03.03 前記事(2019.02.18付)を補遺改訂し再掲
2019.03.04 末梢レイアウト変更
2019.03.05 福音書引用元追記
2019.03.10 フォトコピーに出典追記
2020.06.09 誤字訂正 予言→預言, イエスの問いに追記, 他末梢表現変更補遺
2020.07.16 冗長箇所削除, 表現変更: 私の主すなわちキリスト→キリストすなわち私の主


2 件のコメント:

  1. 見ておられるのは、ギデオン聖書でしょうか?「キリストはダビデの子」という見出しは、新改訳聖書についているものではなくて、ギデオン協会がつけたものではないですか?市販の新改訳聖書を見ていただければ、そうした小見出しはついていません。新改訳聖書の問題ではなく、小見出しをつけた人の問題でじゃないですかね?

    返信削除
    返信
    1. コメント頂きましてありがとうございます。
      多くの方が黙してしまわれる中、貴重なコメントを頂けたこと大変嬉しく思います。
      以下に返信を認めますのでご高覧頂けますようお願いします。

      この記事は「新約聖書 新改訳 第3版」について記しています。このことは記事冒頭およびマタイ伝当該箇所フォトコピー説明の二箇所に明記しています。
      記事中の聖書名称は当該書籍の奥付の記載をそのまま書き写しています。


      投稿者様が抱かれた疑義はコメント中の次の行に依拠していますね。

      「市販の新改訳聖書を見ていただければ、そうした小見出しはついていません。」

      多くの方はご存知のことと思いますが聖書の販売形態には「引照・注付き」と付記されているものとそうでないものがありますね。
      「引照・注付き」のものには全ページに引照と注が加えられて商品化されています。

      匿名者様もぜひ「引照・注付き」のものを開いて注の存在をご確認ください。
      さらに不明な点がおありでしたら何なりとコメント頂けますようお願いします。

      削除

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