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Cogito


東明の空の如く丘々をわたりゆく夕べの風の如く
はたなびく小旗の如く涕かんかな

或はまた別れの言葉の、こだまし、雲に入り、野末にひびき
海の上の風にまじりてとことはに過ぎゆく如く……

2018-10-07

尾花が上に


題詞:日置長枝娘子へきのながえをとめの歌一首




あきづけば 尾花が上に 置く露の
  ぬべくもあれは 思ほゆるかも


日置長枝娘子へきのながえをとめ:萬葉集 1564



注)秋づく=秋の気配が近づくこと(体系)
注)尾花 = ススキまたはその花穂
注)消ぬべくも=消(け) <消(く)・自カ下二連用>+ぬ <助動ナ変終止・完了〉+ べく〈べし・助動ク連用・推量〉+ も <係助・例示>(全文/全訳) → 消えてしまうであろう(我もまたそのようかと)
注)思ほゆるかも=思ほゆ <自動ヤ下二終止・思われる〉+る <り・助動ラ変連体・完了> + かも <終助・感動/詠嘆>(全文) → 思われることだわ

注)動詞 (終止形) の「消(く) 」を見出し語に掲げ、自動詞 カ行下二段活用(け/け/く/くる/くれ/けよ)として、例文を掲げ語義を解説しているのは、学研全訳古語辞典 のみ。

岩波古語辞典は、見出し語を載せてはいるが、く(消) ⇨ け(消) 下二段、としているのみ。岩波は連用形を見出し語とする決まりだが、連用形が「く(消) 」となる語は存在せず、この見出しは自ら定めた異例の見出し語原則に対する違反。終止形の「く(消) 」を見出し語に載せる例外もこの場合は歓迎するが、それならその説明は「け(消) 」( 岩波式 連用形表示 ) の終止形となるはず。

小学館全文全訳古語辞典は「く(消) 」の語の見出し語を載せていない。小学館は通常の終止形を見出し語とする原則であるが、なぜかこの語は連用形の「け(消) 」を見出し語として載せている。

見出し語の掲載ルールは徹底してもらわないと、辞書を引く手間暇が何倍もかかって大変困りますが、この点では、日頃、ほかに先立って開くことはなかった学研の古語辞典が大変有り難い存在であることが判りました。


出典:新日本古典文学大系 萬葉集2 2000 岩波書店 (大系)
参照:新編日本古典文学全集 萬葉集2 1999 小学館 (全集)
   小学館 全文全訳 古語辞典 2004 小学館(全文)
   学研 全訳 古語 辞典 2003 学研教育出版(全訳)
   岩波 古語辞典 1974 岩波書店(古語)



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