Click Icon or Scroll up

Cogito


東明の空の如く丘々をわたりゆく夕べの風の如く
はたなびく小旗の如く涕かんかな

或はまた別れの言葉の、こだまし、雲に入り、野末にひびき
海の上の風にまじりてとことはに過ぎゆく如く……

2017-11-14

ライナー・ マリア・リルケ「秋」


「形象詩集 より」より






樹の葉がる 樹の葉が降る、遠いところから降
 って来るように、
空の中で 遠い庭が幾つも凋んでゆくかのように。
樹の葉が降る、いなむ身振りをしながら降る。

そして幾つかのよるのあいだに 黒い地球が
孤独の中へ沈み込む、ほかのすべての星から離れて。

われらみんなが落ちる。この手が下に落ちる。
君のもう一つの手も──見たまえ、どの手も落ちる。

しかし或るひとりの者がって
これらすべての下降を 限りなく穏やかにその両手
 の中にたもっている。


"Herbst" (形象詩集 より)


Rainer Maria Rilke, 1902, "Herbst" aus "Das Buch der Bilder", 片山敏彦 訳



出典:「リルケ詩集」片山敏彦 訳 1962 みすず書房

注)凋んで = しぼんで


改訂:2018.07.23 レイアウト更新



0 件のコメント:

コメントを投稿

      ********** 投稿要領 **********
1. [公開] ボタンは記入内容を管理者宛に送信し即公開はしません
 (サイト劣悪仕様により当該文字列変更不能)
2. 非公開希望の場合もその旨記述しこのボタンで送信して下さい
3. 送信された記述内容は管理者の承認を経て原則公開されます
4. 反公序良俗, 政治的偏向過剰, 宣伝, 広告, スパム等は不可
      **********************************