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Cogito


東明の空の如く丘々をわたりゆく夕べの風の如く
はたなびく小旗の如く涕かんかな

或はまた別れの言葉の, こだまし, 雲に入り, 野末にひびき
海の上の風にまじりてとことはに過ぎゆく如く……

改訂情報:


- The Alexander Brothers : Nobody's Child リードに加筆, 一部記述変更

- ホセ・カレーラス「光さす窓辺」 対訳付き原語歌詞掲載

2020-06-05

イヴ・モンタン "きみよいずこ"


過ぎ去った恋をしみじみと歌った佳曲、とライナー・ノーツで紹介されています。それをイヴ・モンタンがちょっと物憂げな気分を漂わせながら、そして第三連から最終連にかけて調子を上げるもなお美しい声で、"恋人" をというより "愛" を歌い上げます。




アンリ・ルマルシャン作詞、エミール・ステルン作曲のこの歌は、1946年に発表され、女性歌手ルネ・ルバが歌ってヒットした曲といわれています。イヴ・モンタンがこれを歌ったのは1959年、フィリップスからのLPレコード「モンタン恋を歌う」に収録されています。
ルネ・ルバによる創唱を聴くと、ダミアの「暗い日曜日」によく似た非常に暗い歌になっていて、あまり聴きたい歌ではないなと思ってしまいます。その歌をイヴ・モンタンが、同じ歌とは思えないほど全く違う雰囲気に仕上げています。
失った愛を歌うという、重く暗く深刻になりがちが歌詞を、フィンガースナップにのせて軽快に、流れるように調子良く、しかし丁寧に、そして、なぜかちょっと気だるい感じとでもいうのか、アンニュイというべきか、力が抜けている感じを漂わせて歌っています。

この、気だるいような物憂いような歌い方による感情表現というのはモンタン氏独特というか、他にあまり例のない歌唱であるように思います。
他の曲たとえば「Planter Cafè (コーヒー畠)」という単調で過酷なコーヒー豆の収穫を歌った労働歌でも疲れ切ったかあるいはひどい眠気を感じさせる声の調子で歌詞の内容を楽譜+アルファで表現しています。また、眠気とは違いますが「Sakoura (さくらさくら)」の曲でも、♫さくらさくら弥生の空は♫ の五音音階のメロディーにフランス語の歌詞とクウプレを乗せて、まさに春がすみそのものの雰囲気をみごとに歌い上げています。

思うに、彼は五線譜に書かれた音楽表現の枠の中に閉じこもっていないことを好む歌手なのでしょう。
それはつまり、彼が歌手でありながら根っからの役者でもあるからだと思われます。H-J.クルーゾーの映画「恐怖の報酬」での演技など忘れられません。
大戦後間もなく開いたリサイタルの舞台で「Les grands boulevards (グラン・ブルヴァール大通り)」を歌いそして磨き上げられたモダンダンスを披露して歌詞に歌われている嬉しさ楽しさを体でも表現しました。

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浦太郎の十代後半つまり数十年前、当時、御茶ノ水と神保町の間あたりにあったレコードショップにLPレコード半額のコーナーがあって、そこを時々覗いてシャンソンのレコードの"出物" を見つけていました。あれこれ10枚ほど見つけました。良い思い出です。
この曲 "きみよいずこ" が収録されているアルバム「Yves Montand chante l'amour (モンタン恋を歌う)」もそのうちの一枚のように思っていたのですが、今よくみるとジャケットの隅にバーゲン品である印の "パンチの穴" が開いていないので、もしかするとこれは定価で買ったのかもしれません。

しかしこのレコード、外国語の歌を収録しているのに、それも詩が特に大切なシャンソンなのに、歌詞が付属していません。あるのは、ライナー・ノーツの中の極めて簡単な説明のみ。発売レコード会社のレベルの低さを露呈しています。しかし、ノーツ筆者の永田文夫氏は限られた紙面によく記事をまとめておられます。

そんなわけで、この歌も半世紀を超えて歌詞の詳しい意味をわからずに聞いていました。

二三日前突然この歌を聴きたくなり、せっかく聴くなら歌詞を知りたいものだと、ネット上で探してみましたが原語歌詞はありましたが、日本語はもちろん英訳歌詞も見つかりませんでした。
歌詞にざっと目を通すと面白そうなので、詮方なし、自分で訳しました。訳に誤りや不備などお気づきの点がございましたらご教示ください。

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"Où es-tu, mon amour ?"
 "きみよいずこ"


長い間原詩とその日本語訳をここに掲載していましたが、作詞者のアンリ・ルマルシャン氏の著作権保護期間中であることに今更ながら気づき原詩訳詞とも削除いたしました。その上で、ルフランとして歌われる部分とコーダ部のみの歌詞を部分引用させていただきます。




Reviens-moi, mon amour
帰れ、ぼくの愛

Le temps passe, le temps court
時は過ぎる、時間は短い

Et mon âme
そしてぼくの魂は

Te réclame chaque jour
日ごときみを求める



Mon amour, mon amour
ぼくの愛、ぼくの愛




Henri Lemarchand, 1946, "Où es-tu mon amour?" : 土のちり訳



訳注)歌の題名はレコード・ジャケット記載のものに準拠


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 Bravo !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 2’39“
"Où es-tu mon amour?"「きみよいずこ」
Paroles: Henri Lemarchand
Comp: Émile Stern
Chant: Yves Montand



改訂:2020.06.07 末梢誤記訂正
2020.06.12 訳語変更 君の不在のため→きみがいないので
2023.10.24 作詞者の著作権保護期間中と判り原詩訳詞とも削除, 一部のみを引用として掲載



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