Click Icon or Scroll

Cogito


東明の空の如く丘々をわたりゆく夕べの風の如く
はたなびく小旗の如く涕かんかな

或はまた別れの言葉の, こだまし, 雲に入り, 野末にひびき
海の上の風にまじりてとことはに過ぎゆく如く……

改訂情報:


- The Alexander Brothers : Nobody's Child リードに加筆, 一部記述変更

- ホセ・カレーラス「光さす窓辺」 対訳付き原語歌詞掲載

2019-12-08

alibi-35: 晩秋... Il passe... 詩人... 異邦人...


晩秋好日… 時がつぎつぎと過去になってゆきます。生まれたその時から、死に至るまで。それで、なんでもない光景が、じっと向かい合っていると、儚くまた哀れに思われてきます。 ここに、浦太郎の動画処女作を謹製し大公開、いな、ささやかにブログ限定公開。乞うご高評。

注)"Il passe"=時は過ぎる; シャルル・アズナヴール作詞作曲 "Sa Jeunesse" (青春) からの引用



∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥

されど日本語の奥の深さよ。"あはれ" は、古代語、すなわち飛鳥、奈良のころには、褒め言葉でした。それは、おそらく現代語の "あっぱれ" の語源であろうと推測します。
表面的には、これらは、時代が下って相反する意に転じてしまったかのように見えます。しかし、その正反対の二つには、心の奥深いところで共通するある思いが横たわっているのではないかと思います。
その "ある思い" が何であるのか、未だはっきりしていない、あるいはさせていないのですが……
それは "死" が、それを人が恐れるものである反面、それが救いであり希望でもあるということ、その決定的な事実、そのことに似ています。

最近、実際にそういう思いを新たにしました。
ある "奔放な" といわれる生涯を送った詩人の、身体不自由となり精神をも病んだといわれるその末路について、人は言います「気の毒、哀れ、みじめ」と。それはごく普通の、誰でもが抱く思いではあり、私自身もその末路の事実を知ったその時には幾らかなりともそれに類する思いを抱きました。しかし、その人の、伝えられている限りの生涯、たとえば、托鉢をして資金を集め観音堂を建てたとか… を思う時、その末路は、本人もどれだけ辛かったろう切なかったろう悔やしかったろう、と思うのと同時に、むしろその生涯を、見事だ、あっぱれだ、と心の底からそう思うようになりました。
その人が亡くなったのち、すなわち死によって苦しみから救われたのち、一族の墓には納めてもらえず、墓地の隅に埋められ、ただの石が一つ置かれていたと伝えられています。人は、それを知ってさらに心を痛めます。
しかし、私はそうは思いません。墓の大小に、あるいは墓の有る無しなどに、いったいどれだけの意味がありますか。この地に生を亨けたなら、それを完全燃焼させることにこそ意味があると思うのは私だけでしょうか…… 。そのことを理解できない輩が、墓石を建てる代わりに墓地の隅に埋めて石ころ一つ置いたとしても、その行為自体はどうでもいいのです。その輩が、そして人々が、より大切なことを理解できていないこと、それこそが現代の意味での "あわれ" そのものなのではないでしょうか?
そうですよね…… 江口章子あやこさん?


Link:江口章子作詞 "雨" - 雨がふります 雨がふる 本ブログ記事 2019

江口章子の記念公園 豊後高田市 HP の記事 2018


∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥

1'45"
"alibi-35: 晩秋... Il passe... 詩人... 異邦人... "


∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥


「私はまるで、あの瞬間、自分の正当さを証明されるあの夜明けをずうっと待ち続けていたようだった。何ものも何ものも重要ではなかった。そのわけを私は知っている。君もまたそのわけを知っている。これまでのあの虚妄きょもうの人生の営みの間じゅう、私の未来の底から、まだやって来ない年月を通じて、一つの暗い息吹いぶきが私の方へ立ち上ってくる。その暗い息吹がその道すじにおいて、私の生きる日々ほどには現実的とはいえない年月のうちに、私に差し出される全てのものを、等しなみにするのだ、他人の死、母の愛--------そんなものが何だろう。いわゆる神、ひとびとの選びとる生活、ひとびとの選ぶ宿命--------そんなものになんの意味があろう。ただ一つの宿命がこの私を選び、そして、君のように、私の兄弟といわれる、無数の特権あるひとびとを、私とともに、選ばなければならないのだから。」

アルベール・カミュ 1942 "L'Étranger" 「異邦人」窪田啓作訳 1954 新潮文庫


∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥


改訂:2019.12.09 詩人の節加筆, 他末梢表現変更
2019.12.12 関連記事/情報リンク追記
2019.12.13 一部表現変更
2020.04.03 末梢表現及レイアウト変更
2020.07.06 末梢表現変更


0 件のコメント:

コメントを投稿

      ********** 投稿要領 **********
1. [公開] ボタンは記入内容を管理者宛に送信し即公開はしません
 (サイト劣悪仕様により当該文字列変更不能)
2. 非公開希望の場合もその旨記述しこのボタンで送信して下さい
3. 送信された記述内容は管理者の承認を経て原則公開されます
4. 反公序良俗, 政治的偏向過剰, 宣伝, 広告, スパム等は不可
      **********************************