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Cogito


東明の空の如く丘々をわたりゆく夕べの風の如く
はたなびく小旗の如く涕かんかな

或はまた別れの言葉の、こだまし、雲に入り、野末にひびき
海の上の風にまじりてとことはに過ぎゆく如く……

2019-10-18

さぶしけむかも

 

題詞:紀女郎きのいらつめの、大伴宿禰家持おほとものすくねやかもち に贈りし歌二首 女郎は名を子鹿と曰ふ その一

 
 
 
かむさぶと いなぶにはあらず はたやはた
  かくしてのちに さぶしけむかも


紀女郎 きのいらつめ:萬葉集 762




注)神さぶ=年を経て古びるの意(大系)
注)いなぶ=辞ぶ〔感動詞(否)+動詞を作る接尾語(ぶ)・他動バ上二・拒む,いやだと言う〕(全文全訳)
注)はたやはた=将や将 (連語)〔副詞(はたや)+副詞(はた)・はたやの危惧の気持ちを更に強めた言い方・ひょっとして〕(全文全訳)
注)かくして=そうして(俗解)
注)さぶし=寂し〔さぶし・形シク・連体・寂しい〕(全文全訳)
注)けむ=〔けむ・助動四段・連体・過去の推量・…ただろう〕(全文全訳)
注)かも=〔終助詞・感動/詠嘆/詠嘆+疑問・…かなあ〕(全文全訳)


『歳をとったからといって拒むのではありません。でも、ひょっとして、そうした後で寂しい思いをしたりするかも知れませんね。』


出典:新日本古典文学大系 萬葉集1 2000 岩波書店 (大系)
参照:新編日本古典文学全集 萬葉集1 1999 小学館 (全集)
小学館 全文全訳 古語辞典 2004 小学館 (全文)
学研 全訳古語辞典 改訂第二版 2014 学研 (全訳)



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