若い頃に読んで今なお強く印象に残っている。
当時は、覚めた心で鋭利に切り取られたイメージへの、漠然とした感傷的なものを感じていたように思う。
だが、今、改めて読むと、強くは意識されていなかったことが、鮮明になる。
人魚のいない海・・・それは、中也自身の姿であった。
北の海
海にゐるのは、
あれは人魚ではないのです。
海にゐるのは、
あれは、浪ばかり。
曇つた北海の空の下、
浪はところどころ齒をむいて、
空を呪つてゐるのです。
いつはてるとも知れない呪。
海にゐるのは、
あれは人魚ではないのです。
海にゐるのは、
あれは、浪ばかり。
あれは人魚ではないのです。
海にゐるのは、
あれは、浪ばかり。
曇つた北海の空の下、
浪はところどころ齒をむいて、
空を呪つてゐるのです。
いつはてるとも知れない呪。
海にゐるのは、
あれは人魚ではないのです。
海にゐるのは、
あれは、浪ばかり。
中原中也 1938 「在りし日の歌」
出典:中原中也全詩集 P.208 1972 角川書店
改訂:2018.07.04 旧字体等細部を出典と整合 及び レイアウト変更 誤字訂正 冗長箇所削除
2018.07.04 ミスプリント訂正 残っていえる→残っている
2019.01.14 末梢表示修正
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