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Cogito


東明の空の如く丘々をわたりゆく夕べの風の如く
はたなびく小旗の如く涕かんかな

或はまた別れの言葉の、こだまし、雲に入り、野末にひびき
海の上の風にまじりてとことはに過ぎゆく如く……

2016-06-02

ライナー・マリア・リルケ [嘆き]

詩集「形象詩集」より




嘆き

ああ、何もかも遠く、
そして過ぎ去って久しい。
確かに、今私が、
光を受けているあの星は、
幾千年も前に、死んでしまっているのだ。
確かに、通り過ぎた舟の中で、
何か不安な言葉を聞いた。
家の中で時計が鳴った・・・
どの家だったか?・・・
私は、私の心を離れて、
大空のもとに踏み出したい。
私は、祈りたい。
そしてすべての星のうちのある一つが
存在し続けるのだ。
確かに、私は、
未だ持続しているその一つだけを、
知ることになる ――
天の、光の放射の終焉に
白い都市のようにそびえる星を・・・


  『形象詩集』 より
  Rainer Maria Rilke, 1902, "Klage" aus Das Buch der Bilder, 土のちり訳




注)白い都市のようにそびえる星を=参照 : ヨハネ黙示録第21章



出典:Rainer Maria Rilke "Klage" aus Das Buch der Bilder
   https://de.wikisource.org/wiki/Klage_(Rilke)



改訂:2020.07.02 サイトエラーによるコメント欄非表示を修正
2021.09.07 注釈加筆


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