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Cogito


東明の空の如く丘々をわたりゆく夕べの風の如く
はたなびく小旗の如く涕かんかな

或はまた別れの言葉の, こだまし, 雲に入り, 野末にひびき
海の上の風にまじりてとことはに過ぎゆく如く……

2023-03-08

早春賦:Hue


今回は素晴らしいハーモニーを堪能させてくれる Hue のお二人のデュエットで。
先行記事中の歌唱ビデオを差し替えて再掲します。



この歌と「浜辺の歌」は、いわゆる唱歌と呼ばれるものの中で、大変好きな曲の双璧です。
この早春賦は、歌詞がまだ寒いと歌っていても、そのメロディーが不思議に暖かく、うきうきとした春を感じさせます。それに加えて、韻を踏んだ文語体の詩が、切れ味鋭く、季節が冬から春に変わる頃の自然と人の微妙な気配を味わい深く描いています。
この歌を取り上げるのはこれで二度目。前回は個性的なアクセントを操って、謳われている語義を際立たせる白鳥由美子さんの歌唱でした。
そして・・・

「聞けばかるる胸の思いを、いかにせよとのこの頃か」

春の訪れに早く安堵したいのに、思わせぶりな自然の移り変わりに惑わされてしまう、そんな、人の心情をみごとに詠っています。
このあたりが、詩歌、特に定型詩の、そして文語体の醍醐味であるように思います。



早春賦

春は名のみの風の寒さや
谷のうぐいす 歌は思へど
時にあらずと声も立てず
時にあらずと声も立てず

け去りあしつのぐむ
さては時ぞと思ふあやにく
今日もきのふも雪の空
今日もきのふも雪の空

春と聞かねば知らでありしを
聞けばかるゝ胸のおもい
いかにせよとのこの頃か
いかにせよとのこの頃か

吉丸 一昌 1912 「新作唱歌」


注)角ぐむ = 角のような芽が出始める (辞典)
注)あやにく = 予想•期待に反して都合の悪いことになって、ああ、憎い、と思うような状態を指す。現代語の「あいにく」の古い形 (辞典)

出典:吉丸一昌記念館 早春賦の館 (大分県白杵市) Home Page

参照:小学館 全文全訳 古語辞典 2004 小学館(辞典)
大辞泉 1995 小学館 (辞泉)

∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥

Bravo !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

3'24"
"早春賦"
作詩:吉丸 一昌
作曲: 中田 章
歌:Hue
Pf:夏川由紀乃
イラスト:チェ・ユジン
*繰返し再生:ブラウザの〔更新〕ボタンで本ページを初期化し動画画面の〔スタート▶︎〕ボタンをクリック/タップ


関連記事へのLINK:「早春賦」白鳥英美子さん


改訂:2025.02.06 末梢表現変更, 前回記事へのリンク記載
2025.03.19 リード等末梢変更
2025.11.19 歌詞出典変更,歌詞行間調整,注記改訂,歌詞出典及参照図書記載



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