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Cogito


東明の空の如く丘々をわたりゆく夕べの風の如く
はたなびく小旗の如く涕かんかな

或はまた別れの言葉の, こだまし, 雲に入り, 野末にひびき
海の上の風にまじりてとことはに過ぎゆく如く……

2017-10-07

秋の七草


詞書:山上臣憶良やまのうへのおみおくら の秋野の花をむ歌 二首



秋の野に 咲きたる花を および 折り

かきかぞふれば  七 種 ななくさの花


山上臣憶良やまのうへのおみおくら:萬葉集 1537


注)および = 手の指の俗称(大系)
注)くさ = 種類の意 (草に非ず)


∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴


萩の花 尾花おばな 葛花 くずはな なでしこが花

をみなへし また 藤袴ふぢばかま 朝貌あさがほ が花


山上臣憶良やまのうへのおみおくら:萬葉集 1538


注)五七七・五七七 の旋頭歌(和歌の一形式)
注)花の名
  萩の花 = はぎのはな
  尾 花 = おばな ススキ
  葛 花 = くずはな クズの花 紫赤色の美しい花が群がり咲く
  なでしこ = 撫子 カワラナデシコ
  をみなへし = 女郎花 枝先に黄色い花をつけ 美女に例えられることが多い(辞典)
  藤 袴 = ふじばかま キク科の多年草 淡紫色の筒状花が群がり咲く(全集)
  朝 貌 = あさがほ 未詳 むくげ 桔梗 朝顔 等の説あり 桔梗がほぼ定説(全集)


出典:新日本古典文学大系 萬葉集4 2000 岩波書店
参照:新編日本古典文学全集 萬葉集4 1999 小学館
  :岩波 古語辞典 補訂版 1990 岩波書店




題詞:天皇てんわう の 御製歌おほみうた



春過ぎて 夏きたるらし 白たへの
 衣干ころもほしたり あめ香具山かぐやま



持統天皇じとうてんのう:萬葉集 28



注)来るらし=来ルは来+至ル の約.らしは推定の助動詞(全集)
注)白たえ=タエは樹脂から作った繊維で織った布, 白い布(全集)
注)天の香久山=天香久山,天香具山: 奈良市内にある香久山の別名,大和三山のひとつ.標高152.4m(wikipedia)

特記)小学生の頃(1950年代)、年毎の正月に家族全員で楽しんだ百人一首では、この歌の現代語訳は少し違って次のようなものでした。
 「春過ぎて 夏来にけらし 白妙の 衣干すてふ 天の香久山」
上記訳は、(以下引用) 新古今集に載っている訳で、平安時代以来の万葉集の訓読の一つがそうだったのであって、新古今集の撰者が改作したのではない(大系)



出典:新編日本古典文学全集 萬葉集 1999 小学館(全集)
参照:小学館 全文全訳 古語辞典 2004 小学館(辞典)
新日本古典文学大系 萬葉集 2000 岩波書店(大系)


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