Click Icon or Scroll up

Cogito


東明の空の如く丘々をわたりゆく夕べの風の如く
はたなびく小旗の如く涕かんかな

或はまた別れの言葉の、こだまし、雲に入り、野末にひびき
海の上の風にまじりてとことはに過ぎゆく如く……

2023-08-25

立原道造「月の光に与へて」


立原道造 「拾遺詩篇」より




月の光に与へて



おまへが 明るく てらしすぎた
水のやうな空に 僕の深い淵が
誘はれたとしても ながめたこの眼に
罪は あるのだ

信じてゐたひとから かへされた
あの つめたい くらい 言葉なら
古い泉の せせらぎをきくやうに
僕が きいてゐよう

やがて夜は明け おまへは消えるだらう
ーーあした すべてを わすれるだらう




立原道造 1937~1939 「拾遺詩篇」 より





出典:立原道造詩集 1988 岩波書店




  ∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥   




改訂:2023.08.27 アイコンを掲載写真の埋込に変更


0 件のコメント:

コメントを投稿

      ********** 投稿要領 **********
1. [公開] ボタンは記入内容を管理者宛に送信し即公開はしません
 (サイト劣悪仕様により当該文字列変更不能)
2. 非公開希望の場合もその旨記述しこのボタンで送信して下さい
3. 送信された記述内容は管理者の承認を経て原則公開されます
4. 反公序良俗, 政治的偏向過剰, 宣伝, 広告, スパム等は不可
      **********************************