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Cogito


東明の空の如く丘々をわたりゆく夕べの風の如く
はたなびく小旗の如く涕かんかな

或はまた別れの言葉の, こだまし, 雲に入り, 野末にひびき
海の上の風にまじりてとことはに過ぎゆく如く……

改訂情報:


- The Alexander Brothers : Nobody's Child リードに加筆, 一部記述変更

- ホセ・カレーラス「光さす窓辺」 対訳付き原語歌詞掲載

2022-09-15

"Home! Sweet Home!" J. サザランド


1990年の引退公演でサザランドが選んだ演目はマイアベーアの「ユグノー教徒」。16世紀中~17世紀末のフランスで弾圧された改革派 “ユグノー教徒” が王権派/教皇派と争った暗い歴史を背景に貴族社会の混迷を描く5幕4~5時間に及ぶグランド・オペラ。その公演のアンコールで歌ったのがこの "Home! Sweet Home! (埴生の宿)"。


これは “Home! Sweet Home! (埴生の宿)” の究極の歌唱に聴こえます……38年に及ぶプリマドンナとしての華々しい活躍に別れを告げて我が家に帰る、その別れの歌。
万感の思いをこの数行にまたこのメロディーに託した…… Brava!
この公演も、夫リチャード・ボニング氏の指揮で歌います。

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 Home! Sweet Home!
 優しく楽しい我が家!


 
’Mid pleasures and palaces though we may roam,
悦楽や御殿の渦中をさ迷ったりもしたが、

Be it ever so humble,
それはいつの日にもいと慎ましくあって欲しい、

There’s no place like home.
我が家に勝るところ他になし。

A charm from the skies Seems to hallow us there,
そこでは天のお守りが私たちを聖化するよう、

Which seek thro’ the world, is ne’er met with elsewhere.
それは世界中に探し求めてみても、そこ以外では決して叶えられないもの。

Home, home, sweet sweet home,
我が家、我が家、優しく楽しい我が家、

There’s no place like home, there’s no place like home.
我が家に勝るところ他になし、我が家に勝るところ他になし。



"Home! Sweet Home"
John Howard Payne, 1791-1852, 土のちり訳


注)'Mid = Amid

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Brava !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

3'41"
"Home! Sweet Home"
Tune: English Trad.
Poem: John Howard Payne
Sop: Joan Sutherland
Cnd: Richard Bonynge
Och: Australia Opera and Ballet Orchestra
Live at The Sydney Opera House, 1990

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なぜここでサザランドを取り上げたかというと、彼女は私がクラシック音楽に興味を覚えた大昔に最初に知った数人の音楽家の一人で、漠然とした憧れの対象だった懐かしさからです。
中学生の頃近くにあったデパートのレコード売り場によく通いました。
当時普及し始めていた “ステレオ” LPレコードを買える小遣いがあったわけではなかったのですが、売り場に飾られているジャケットや宣伝ポスターを見るのが楽しみでした。
そしてレコード会社ごとに発行されていた月刊と年刊(?)のレコードカタログをもらい、それを家で飽かずに眺めるのが常でした。

そのころの憧れのソプラノは?
南北の女王として二人が君臨していました…… 私の頭の中での話ですが。
南 (Australia) のジョーン・サザランド、北 (Sweden) の ビルギット・ニルソン、のふたり。

で、ふたりの歌がどれほど好きだったかというと、それは忘却の彼方に…… まあ、当時はレコードが買えなければラジオで年に何度か耳にする程度の機会しかなかったわけですが、曲目も声の印象も一切覚えていません。
にもかかわらず当時は、レコードを一枚買うとしたら……サザランドかニルソンか、と悩んでいたものでした。

ニルソンはドイツ系のドラマティック・ソプラノで得意の分野はワグナーの楽劇。
ところが私は長じて、そして今も、すっかりワグナー嫌いになりニルソンの歌はスウェーデン民謡の一曲のほか聴いたことがありません。
一方サザランドはドラマティックからベルカントに転向したそうですが、その声の独特な柔らかさと甘さが魅力で好きなアリアや重唱があります。
高齢となってからリゴレットの娘ジルダを演じてパバロッティほかのメンバーと歌った四重唱は特に印象深いです。
オペラの魅力と言われるとまずこの四重唱を思い出します。

ところで、当時のレコードカタログでマリア・カラスの名を見た記憶が一切ありません。
その頃、 “人気” ではおそらくニルソンよりもサザランドよりも上だったろうと思われます。しかし、歌唱そのものではなく、捏造をも含む多くのゴシップや公演キャンセルなどでマスコミが騒いでいた影響で、私自身カラスをひどく嫌っていました。今思えば、レコードカタログもカラスの載っているページは飛ばして見ていたのだろう思います。


改訂:2022.09.22 埴生の宿→Home! Sweet Home! 優しく楽しい我が家!


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