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Cogito


東明の空の如く丘々をわたりゆく夕べの風の如く
はたなびく小旗の如く涕かんかな

或はまた別れの言葉の、こだまし、雲に入り、野末にひびき
海の上の風にまじりてとことはに過ぎゆく如く……

New ! :改訂情報


- ホセ・カレーラス「光さす窓辺」 対訳付き原語歌詞追記

- ハインリッヒ・ハイネ「いと麗しき五月」 助詞 "も" につき加筆/仮名遣を原典に整合

2022-09-13

夏の名残のばら (庭の千草)


"夏の名残のばら(The Last Rose of Summer)" はアイルランドの詩人トーマス・ムーアの作品。 アイルランドのバリトン Simon Morgan と歌手/作曲家 Jack O Rourke がソロとデュエットで、ひとり残されたものへの愛釈に自らの悲哀を重ねた詩情を、懐かしい「庭の千種」のメロディーに乗せて粛然と歌います。


成り立ちと詩:
ムーアは1805年に、アイルランドのキルケニー県ジェンキンスタウン・パーク(Jenkinstown Park)でこの詩を書いた。この詩はブラーニーの木立(The Groves of Blarney)というアイルランド民謡の旋律と共に、アイルランドの旋律 第5巻(1813年12月出版)に収録された。-ja.wikipedia.org

文末に、日本では「庭の千草」の題名で親しまれているこの歌、その由来と歌詞の引用を掲げます。

∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥


 The Last Rose of Summer
  夏の名残のばら



 
Tis the last rose of summer,
これは夏の最後のバラ、

Left blooming alone;
取り残されて一人咲く;

All her lovely companions
彼女の愛らしい仲間たちはみな

Are faded and gone;
色褪せ逝ってしまった;

No flower of her kindred,
彼女の種の花はほかになく、

No rosebud is nigh,
バラのつぼみも近くにない、

To reflect back her blushes,
… 彼女の恥じらいに振り返ったり、

Or give sigh for sigh.
ため息にため息したりするような。



I'll not leave thee, thou lone one!
私は君を離れない、独りぼっちの君を!

To pine on the stem;
… 茎の上で思い焦がれるままにして;

Since the lovely are sleeping,
愛らしいものたちは眠っているから、

Go, sleep thou with them.
行って、みんなと一緒に眠りなさい。

Thus kindly I scatter,
それで私は優しく、撒く、

Thy leaves o'er the bed,
君の葉っぱたちをベッド一面に、

Where thy mates of the garden
そこは庭にいた君の仲間たちが

Lie scentless and dead.
香ることもなく枯れて横たわっているところ。



So soon may I follow,
そう私もすぐに後を追うかも知れません、

When friendships decay,
友情が衰え、

And from Love's shining circle
愛の輝かしい輪から

The gems drop away.
宝玉が転がり落ちる時に。

When true hearts lie withered,
真の心が枯れ果て、

And fond ones are flown,
愛するものたちが消え去ってしまう時、

Oh! who would inhabit
あぁ! 誰が生きていけるものか

This bleak world alone?
この荒涼とした世をたった独りで?



"The Last Rose of Summer"
Thomas Moore, 1805, A Selection of Irish Melodies V.5, 土のちり訳


注)Tis = It is

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Bravo !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

3'51"
"The Last Rose of Summer"
Tune: Irish Trad.
Poem: Thomas Moore
Bar: Simon Morgan
Vo&Pf: Jack O Rourke
Live at The National Concert Hall Dublin February 2018

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里見義氏が原詩を深読みし、健気に一人遅れて咲く冬菊の白い花を古来の観念 "人の操" になぞらえて翻案した作品「庭の千草」。
後半の歌詞はその意味を考えることもなく忘却の彼方へ、ただ懐かしく楽しんできました。

以下-ja.wikipedia.orgより引用:
唱歌「庭の千草」
夏の名残のばらは、里見義(さとみ ただし、1824年-1886年)の翻案で『小学唱歌集 第三編』(明治17年(1884年)3月発行、文部省音楽取調掛編)に収められた。当初のタイトルは「菊」であったが、歌詞の冒頭の「庭の千草」がいつしかそのまま曲名になり、唱歌の1つとして広く親しまれた。
1941年12月、日本は第二次世界大戦へと突入。米英の音楽は禁止されたが、「庭の千草」は「蛍の光」などと並んで日本化されているとして禁止対象から除外されている。

庭の千草も。むしのねも。
かれてさびしく。なりにけり。
ああしらぎく。嗚呼(ああ)白菊(しらぎく)。
ひとりおくれて。さきにけり。
二露(つゆ)にたわむや。菊の花。
しもにおごるや。きくの花。
あああわれ あわれ。ああ白菊。
人のみさおも。かくてこそ。



改訂:2022.09.21 …(ため息したり)するための→…するような


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